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夜勤ツールズ

解説記事

深夜残業は何倍?
時間外+深夜で1.5倍以上

公開日 ・ 最終更新日 ・ 読了 約7分

執筆: 夜勤ツールズ編集部

たくみ、残業代が消えたと思い込む

※ 登場人物・会話は、制度上の論点を説明するために作成した架空の例です(実在の相談や体験談ではありません)。

同僚くんの話は、実はよくある誤解です。 深夜残業が何倍になるかは、その1時間が「法定の時間外」と「深夜帯(22時〜翌5時)」の両方に当たるかで決まります。 両方に当たれば時間外25%+深夜25%=50%以上(1.5倍以上)、 夜勤明けの朝(5時以降)まで延びた残業は深夜帯の外なので深夜割増は付きません。法定休日ではない日の法定時間外労働なら時間外割増だけになります(原則+25%。月60時間を超えた部分は+50%)。 会社の夜勤手当と法定の割増は本来別物なので、手当が出ていても割増が消えるわけではありません。 たくみくんの「延長1時間」がいくらになるのか、線引きから整理します。

30秒でわかる結論

  • 結論: 重複する。深夜帯(22:00〜翌5:00)の残業は、時間外25%+深夜25%=50%以上の割増
  • 夜勤明けの朝(5:00以降)の残業は深夜帯の外なので+25%のみ
  • 会社の夜勤手当だけでは法定の割増を満たしているとは限らない。固定手当に割増相当分が含まれるか・法定額以上かは就業規則・賃金規程で確認

→ 自分の時間帯でいくら増えるか計算する(無料)

同僚くんの説は本当?(検証)

「夜勤手当が出てるなら残業代はない」——労働基準法37条に照らすと、 答えは誤りです。似た誤解と合わせて検証します。

  • 「夜勤手当をもらっているから深夜割増は付かない」 → 多くの場合誤り。会社の夜勤手当と法定の深夜割増は本来別物です。名称ではなく金額が法定額を満たしているかが基準です
  • 「割増は大きい方だけ適用される」 → 誤り。時間外と深夜は加算されます
  • 「管理職(名ばかり管理職を含む)は深夜割増もない」 → 誤り。管理監督者でも深夜割増は支払い対象です
固定手当に深夜割増分を含める賃金設計の詳しい条件
ただし、就業規則・賃金規程で 固定手当に深夜割増相当分を含めることが明確に定められ、実際の支給額が法定の割増額以上であれば、 別項目での上乗せまでは必要ないことがあります。

つまり、たくみくんの延長1時間分の割増は消えません。問題は「何%増か」で、 それは延長がどの時間帯に起きたかで変わります。

たくみくんの延長1時間はいくら増える?(2パターン)

休憩スペースでスマホの電卓と指折りで割増率を数え、ひらめくたくみくん
スマホ電卓と指折りで検証中のたくみくん。ポイントは「延長がどの時間帯に起きたか」です。

たくみくんの深夜勤は22:00〜翌7:00(休憩1時間、実働8時間)、時給は1,300円だとします。 班長の「1時間延長」で退勤は翌8:00。まず、どこまでが深夜帯かを見てください。

深夜勤(22:00〜翌7:00)が翌8:00まで延びたケース(休憩1時間は2:00〜3:00に仮置き)
22:00 出勤8:00 退勤
勤務時間深夜割増の対象(22:00〜5:00)休憩

パターンA: 今回の延長(翌7:00〜8:00)。 たくみくんはすでに実働8時間の所定を勤め終えているので、この1時間は1日8時間の法定労働時間を超えた法定時間外労働で、 時間外割増(+25%)の対象です。 ただし深夜帯(〜翌5:00)はとっくに過ぎているので深夜割増は付きません。 時給1,300円なら 1,300 × 1.25 = 1,625円で1時間分です。

パターンB: もし延長が深夜帯の中で起きたら。 たとえば準夜勤15:00〜翌0:00(休憩1時間、実働8時間)の日に、退勤が翌1:00まで延びた場合。 0:00〜1:00の1時間は1日の実働が8時間を超えた法定時間外であり、 しかも深夜帯(22時〜翌5時)の中なので、時間外25%と 深夜25%が重なって+50%。 時給1,300円なら 1,300 × 1.5 = 1,950円で1時間分です。

同じ「延長1時間」でも、深夜帯の中か外かで1時間あたり325円の差(このモデル)。 「どこからが時間外か」「どこまでが深夜帯か」の線引きが、日をまたぐ勤務では特にわかりにくくなります。
注意: 「所定労働時間を超えたら自動的に+25%」ではなく、時間外割増が必須になるのは1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えた部分(法定時間外)です。
所定8時間未満・変形労働時間制の場合の詳しい扱い(例外)
上の2パターンはいずれも実働8時間を超えた延長という前提で計算しています。 所定が8時間より短い職場では、所定超えでも法定枠内に収まる残業(法定内残業)の 割増の有無は就業規則・賃金規程によります。また変形労働時間制の職場では、時間外にあたるかどうかの 判定方法自体が異なります(深夜割増は時間帯で決まるため、これらの場合も22時〜翌5時なら +25%以上が必要です)。

答え合わせ: 深夜×時間外×法定休日の組合せ別倍率表

深夜帯の法定時間外労働には時間外25%+深夜25%=50%以上が必要です(労働基準法37条)。 倍率は「1 + 割増率の合計」。時給1,300円なら1時間分は次のとおりです(2パターンとも実働8時間超が前提)。

状況倍率1時間分(時給1,300円)
法定時間外(月60時間以内)1.251,625円
深夜(22時〜翌5時)のみ1.251,625円
法定時間外 + 深夜1.501,950円
月60時間超の法定時間外1.501,950円
月60時間超の法定時間外 + 深夜1.752,275円
法定休日労働(8時間を超えても同じ)1.351,755円
法定休日労働 + 深夜1.602,080円

深夜割増は時間帯だけで決まるので、どの行でも22時〜翌5時に重なれば+25%。 一方、法定休日労働には時間外割増を重ねないので、8時間を超えても1.35倍のまま、深夜帯に入って1.60倍です(福岡労働局の計算例も同じ)。 月60時間の数え方に法定休日の労働時間は含めません。

倍率の条文上の根拠(労働基準法37条・労働基準法施行規則20条)

労働基準法37条1項(月60時間超は五割以上)・4項(深夜は二割五分以上)、労働基準法施行規則20条1項(時間外+深夜=五割以上、月60時間超は七割五分以上)・2項(休日+深夜=六割以上)。 e-Gov法令検索で条文確認(確認日2026-09-06)。休日は原則として暦日で考えます(栃木労働局)。

月の明細を式で再現する(計算過程)

時給1,300円で、ある月の法定時間外が30時間、うち10時間が深夜帯だった場合の割増分です(基礎部分の1,300円×時間は別途)。

モデル明細の割増部分(時給1,300円・法定時間外30時間・うち深夜帯10時間)

① 時間外割増 = 基礎時給 × 0.25 × 法定時間外 = 1,300 × 0.25 × 30 = 9,750円

② 深夜割増 = 基礎時給 × 0.25 × 深夜帯の時間 = 1,300 × 0.25 × 10 = 3,250円

③ 合計 = ① + ② = 13,000円

多くの明細は「時間外」と「深夜」が別行で、1.50倍の行が見えなくても2行の合計が合っていれば問題ありません。 月給制の基礎時給は「月給 ÷ 月平均所定労働時間」(労働基準法施行規則19条1項4号)で、月給22万円・年間所定2,040時間なら 220,000 ÷ 170 = 1,294.1円。 家族手当・通勤手当・住宅費に応じて算定される住宅手当など法定の除外賃金(同37条5項・同規則21条)は除き、一律支給の住宅手当や扶養人数と無関係の家族手当、職務手当などは名称にかかわらず含めます。

端数: 1か月の合計時間の30分未満切り捨て・30分以上切り上げは事務簡便の例外として認められますが、1日ごとに15分未満などを切り捨てる処理は 労働基準法違反とされています(東京労働局)。明細の時間数が毎日少しずつ少ないときはここを疑ってください。

給与明細の項目名別の見分け方(手順)

項目名は会社ごとに違いますが、法定の割増は「時間帯」「法定時間超え」「法定休日」の3種類だけです。

  1. 支給欄の項目を3つに仕分けする

    「深夜勤務手当」「深夜割増」「夜勤割増」は深夜割増、「時間外手当」「残業手当」「超過勤務手当」は法定時間外、「休日出勤手当」「休日勤務手当」は法定休日。 会社独自の「夜勤手当(1回◯円)」は別枠なので脇に置きます。

  2. 各行の「時間数」を勤務表と突き合わせる

    深夜の行は22時〜翌5時に重なった実働(休憩を除く)の合計と一致するはずです。22:00〜翌7:00勤務(深夜帯の実働6時間)を月10回なら60時間。

  3. 金額 ÷ 時間数 ÷ 基礎時給で「率」を逆算する

    深夜勤務手当3,250円 ÷ 10時間 = 325円、基礎時給1,300円で割ると0.25。時間外の行が1.25(基礎込み)か0.25(割増分のみ)かは会社の様式によります。

  4. 定額の「夜勤手当」は賃金規程で中身を確認する

    割増相当分を含める定めがあるなら「手当額 ≧ 基礎時給 × 0.25 × 深夜帯の実働」かを比べます(1回5,000円・深夜帯6時間・基礎時給1,300円なら法定分は1,950円)。 該当する行が無ければ、給与担当に「深夜割増はどの行に、どの率で入っていますか」と聞きます。

SNSでよく見る誤解と条文の根拠

よく見る言い回し実際のルール根拠(確認日2026-09-06)
「深夜残業は1.5倍で固定」1.5倍は「法定時間外 + 深夜」のとき。月60時間超は1.75倍、法定内残業なら深夜分の1.25倍+規程による労働基準法37条1項ただし書・4項、労働基準法施行規則20条1項
「法定休日の残業は35%+25%=60%」法定休日には「法定時間外」の概念がなく、8時間を超えても1.35倍。1.60倍は深夜帯に入った時間だけ労働基準法施行規則20条2項、福岡労働局の計算例
「日曜の夜勤は全部が休日労働」休日は暦日(0時〜24時)が原則。日曜が法定休日なら日曜22〜24時は休日+深夜、月曜0時以降は(月曜が休日でなければ)深夜または時間外+深夜労働基準法35条、栃木労働局「休日(第35条)」

深夜は時間帯、時間外は1日8時間・週40時間、法定休日は暦日と、3つの割増は別々の条件で発生し、時間外と法定休日は同じ時間に両方成立しません。

職場で変わる3つのポイント(どこで確認するか)

  • 所定労働時間(7時間30分か8時間か): 所定7時間30分で30分延長しても8時間以内なら法定時間外ではなく、+25%を付けるかは賃金規程しだい。 就業規則の「労働時間」の条と賃金規程の「時間外手当」の条を見ます。
  • 法定休日がどの日か: 週休2日なら1日だけが法定休日。特定していない就業規則もあり、どの休日出勤が1.35倍かで見解が分かれます。 就業規則の「休日」の条に「法定休日は日曜日とする」等があるかを確認します。
  • 変形労働時間制の有無: 1か月単位の変形制では、シフト表で8時間超と定めた日はその所定を超えた分が時間外で、週・変形期間でも判定します。 深夜割増は変わりません。就業規則の該当条と勤務割表で確認します。

差があったときの次の行動(状況別)

  • 率は合っているが時間数が違う: 勤務表・タイムカードの控え・明細をそろえ、「◯月の深夜時間が勤務表では60時間、明細では54時間。差の6時間はどの処理ですか」と 数字を添えて給与担当に聞きます。休憩の置き方や日ごとの切り捨てが原因のことが多く、集計ミスならその場で訂正されます。
  • 率そのものが違う、または説明がつかない: 賃金規程の該当条文と明細を持って、勤務先を管轄する労働基準監督署 (厚生労働省「全国労働基準監督署の所在案内」で検索。平日8:30〜17:15)へ。賃金請求権の時効は労働基準法115条で5年(経過措置により当分の間3年)です。

線引きの計算はツールに任せる

日またぎ勤務の深夜帯判定や時間外との重複計算は、手計算だとミスが起きやすい部分です。 勤務パターンと月間シフトを入力するだけで、深夜帯との重なりや日またぎ勤務をふまえて 時間外との重複を簡易判定し、月の手取りまで概算します (週40時間基準の判定・変形労働時間制・複数勤務先の通算は非対応)。

あなたの手取りはいくら?

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よくある質問

夜勤明けにそのまま残業した場合、割増はどうなりますか?

1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えた部分には時間外割増(+25%)が付きます。その残業が深夜帯(22:00〜翌5:00)に重なっていれば深夜割増も加算されて+50%です。夜勤明けの朝(5:00以降)の残業は深夜帯を過ぎているため+25%のみです。なお所定労働時間が8時間より短い場合の法定枠内の残業(法定内残業)の扱いは就業規則・賃金規程により、変形労働時間制の職場では時間外の判定方法が異なります。

割増が正しく支払われているか確認するには?

給与明細の「深夜割増」「時間外(残業)手当」の項目と、実際の勤務時間帯を照らし合わせます。日をまたぐ勤務は手計算が難しいため、シミュレーターで概算を出して明細と比べるのが手軽です。大きく差がある場合は勤務先の給与担当部署に確認しましょう。

月60時間を超えた残業が深夜帯にかかると何%増ですか?

月60時間を超えた法定時間外労働の割増率は+50%以上とされ(労働基準法37条1項ただし書)、その時間が深夜帯(22:00〜翌5:00)に重なると深夜割増+25%が加わり合計+75%以上になります(労働基準法施行規則20条1項)。この60時間の数え方には法定休日に働いた時間は含めない、とされています。中小企業にもこの率が適用されるようになったのは2023年4月1日からです。

時給1,300円だと、深夜残業は1時間あたりいくらになりますか?

本記事のモデル(基礎時給1,300円)では、法定時間外だけなら1.25倍で1時間1,625円、その残業が深夜帯(22:00〜翌5:00)に重なると1.50倍で1,950円、月60時間を超えた時間外が深夜帯に重なると1.75倍で2,275円が目安です(いずれも基礎部分を含む1時間分の額で、法定の下限の率で計算しています)。基礎時給が違う場合は、同じ倍率を自分の基礎時給に掛けて概算できます。

法定休日に深夜まで働いたら、休日35%+時間外25%+深夜25%で85%増になりますか?

そうはならないとされています。法定休日の労働には「法定時間外」という区分がないため、8時間を超えても休日割増+35%のままで、時間外割増は重ねません。深夜帯(22:00〜翌5:00)に入った時間だけ深夜割増+25%が加わり、合計+60%以上(1.60倍)になります(労働基準法施行規則20条2項)。どの日が法定休日かは就業規則の定めによるため、週休2日の職場では「どちらの休日に出たか」で率が変わることがあります。

夜勤手当をもらっていても、残業代や深夜割増は別に支払われますか?

会社が独自に定める夜勤手当と、労働基準法37条の割増賃金は本来別のものです。ただし、就業規則・賃金規程で固定手当のうち深夜割増にあてる部分が明確に定められ、通常の賃金にあたる部分と割増賃金にあたる部分を判別できる場合には、別項目での上乗せまでは必要ないことがあります。判断の基準は手当の名称でも手当の総額でもなく、深夜割増にあてると定められた部分が「基礎時給 × 25% × 深夜帯の実働時間」に足りているかどうかです。足りなければ不足分は別に支払う必要があるとされています。手当に時間外割増分も含めるとされている場合は、時間外の分についても同じように判別と金額の確認が要ります。給与明細に深夜割増にあたる行が見当たらない場合は、賃金規程の定めと金額を確認し、分からなければ給与担当に「深夜割増はどの行に、どの率で入っていますか」と聞いてみてください。

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出典・参考資料

※ 本記事および紹介ツールの計算結果は概算であり、実際の給与は勤務先の規定によります。