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夜勤ツールズ

解説記事

夜勤手当が支払われないのは違法?
給与明細の確認手順と未払い分の請求期限

公開日 ・ 最終更新日 ・ 読了 約8

執筆: 夜勤ツールズ編集部

けんじ、「項目がない=違法」を落ち着いて確かめる

※ 登場人物・会話は、制度上の論点を説明するために作成した架空の例です(実在の相談や体験談ではありません)。

同期くんの「項目がない=違法」は、実はそのままでは決められない話。 法律上の支払い義務があるのは「深夜割増賃金」 (22時〜翌5時の労働に基礎時給の25%以上)で、名称は問われません。 この記事では、給与明細の確認手順3ステップと未払いならいくらになるかの計算例、 請求期限(当分の間3年)・相談先までを順番に整理します。

30秒でわかる結論

  • 22時〜翌5時に働いたのに深夜割増(基礎時給の25%以上)に相当する支払いがまったくなければ、未払い賃金として請求できる可能性がある
  • ただし「夜勤手当」の項目が明細になくても違法とは限らない。名称ではなく金額で確認する(固定額の夜勤手当は、規程で深夜割増に充てると定められ割増部分が区分されている場合に、その割増部分だけを法定額と比べる)
  • 請求できる期間の目安は支払期日から当分の間3年。モデルケースでは3年分で54万円になりうる

本来の概算額を自分のシフトで計算する(無料)

「夜勤手当がない」=「違法」とは限らない

まず整理したいのは、「夜勤手当」と「深夜割増賃金」は別物だという点です。

  • 深夜割増賃金: 労働基準法37条4項に基づく支払い義務。22時〜翌5時の労働に25%以上
  • 夜勤手当: 会社が就業規則・賃金規程で独自に定める手当。法律上の支給義務はない

そのため、「夜勤手当」という項目がなくても、深夜割増賃金が別の名目で支払われていれば 違法ではありません。

逆に、固定額の夜勤手当(例: 1回4,000円)に深夜割増分を含める賃金設計の会社もあり、 その場合は固定額が法定の割増額を下回っていないかが問題になります。 どちらのパターンかは就業規則・賃金規程で確認できます。

大事なのは名称ではなく金額です。 深夜割増賃金に相当する支払いがまったくなければ、労働基準法37条違反の未払い賃金として 請求できる可能性があります。

よく聞く言い回し4つと、実際の扱い

よく聞く言い回し実際の扱い根拠
「夜勤手当込みの給料だから、深夜割増は別に出ない」名称は問われませんが、手当が基礎時給×25%×深夜実働時間を下回る部分は不足分として請求の対象になり得ます。法律の基準に達しない労働条件はその部分が無効です労働基準法37条4項・13条(確認日2026-09-06)
「固定残業代(みなし残業)に含まれている」求人時には、固定残業代に深夜分を含めるなら何時間分・いくらかと、超えた分は追加で支払う旨の明示が求められます(厚労省資料は主に求人時の明示事項)。既存の契約で固定手当が有効に割増を充当しているかは、通常賃金部分と割増部分を判別できるかなどを含めて個別に判断されます厚労省リーフレット「固定残業代を賃金に含める場合は…明示を」
「管理職だから割増はつかない」労働基準法41条が適用除外とするのは労働時間・休憩・休日の規定で、深夜の割増(37条4項)は除外されていません労働基準法41条・37条4項
「時効は2年だから古い分は無理」2020年4月1日以降に支払期日が来た賃金は当分の間3年。それより前の分は改正前の2年です労働基準法115条・附則143条

1と2に共通するのは、手当の名前ではなく「時間×単価で計算した法定額と実際に払われた額の差」で判断する点です。

給与明細で何を確認する?(3ステップ)

  1. 深夜帯の実働時間を数える

    シフト表やタイムカードから、22時〜翌5時に働いた時間を月単位で合計します(休憩時間は除く)。
  2. 基礎時給を出す

    月給制なら「月給 ÷ 月平均所定労働時間」で求めます。
  3. 比べる

    「基礎時給 × 25% × 深夜帯実働時間」と、明細の「深夜割増(深夜手当)」欄の額を見比べます。 「夜勤手当」欄は、賃金規程で深夜割増に充てると定められている(通常の賃金部分と割増部分が区分されている)場合に限り その割増部分だけを足し、区分が分からなければ足さずに規程・給与担当に確認します(後述の「未払い額を式で出す」と同じ条件です)。
基礎時給から除外できる手当をくわしく読む
家族手当・通勤手当・住宅手当など、割増賃金の算定基礎から除外できる手当もあります(労働基準法37条5項)。ただし名称ではなく実態で判断され、住宅費に応じて算定されない一律の住宅手当や、扶養人数と無関係の家族手当は含めます。 基礎時給を出すときは、これらを除いた賃金をもとに計算します。

証拠の集め方(5種類・入手方法)

いつ・何時間・いくら払われたかを示す資料を、入手ルートを分けて挙げます。

  1. 出退勤の記録(タイムカード・ICカード・勤怠システムの画面)

    毎月スマホで撮影して残し、過去分は会社に写しを求めます。会社には賃金台帳や出勤簿の保存義務があります(労働基準法109条、当分の間3年)。
  2. シフト表(勤務割)

    掲示されるものを撮影またはコピーし、実際の出退勤と食い違う日(前残業・引き継ぎ延長)はメモを添えます。
  3. 給与明細(対象期間の全月分)

    「深夜割増」「夜勤手当」「基本給」「所定労働時間」の欄。紛失分は再発行を依頼します。3年分なら36枚です。
  4. 雇用契約書・労働条件通知書

    基本給、所定労働時間、変形労働時間制の有無、固定残業代の時間数と金額の箇所。
  5. 就業規則・賃金規程

    労働基準法106条により周知義務があり、閲覧を求められます。夜勤手当の条文(額・支給条件・深夜割増を含むか)を写します。

1〜3があれば深夜帯の時間数と支払額の突き合わせができます。自分で毎日つけた出退勤メモも資料の1つとして扱われ得ます。 会社が開示に応じないときは、その事実自体を相談窓口に伝えます。

未払いならいくらになる?(計算例)

月給255,000円・月平均所定労働時間170時間の人なら、基礎時給は 255,000 ÷ 170 = 1,500円です。 深夜帯の実働が月40時間ある場合、深夜割増は最低でも次の金額になります。

夜の休憩所で給与明細とスマホの電卓を見比べ、深夜割増の額を指差し確認するけんじさん
名称ではなく金額で確かめるけんじさん
未払い分は積み重なる(月給255,000円・深夜実働40時間/月のモデル)

1か月分の深夜割増

15,000円

1,500円 × 25% × 40時間

3年分(36か月)

540,000円

まったく支払われていない場合

未払い額を式で出す(遅延利息・付加金の扱い)

未払い額の式(モデルケース)

式1 基礎時給 = 月給(除外できる手当を除く) ÷ 月平均所定労働時間 → 255,000 ÷ 170 = 1,500

式2 1か月の法定深夜割増 = 基礎時給 × 25% × 深夜帯の実働時間 → 1,500 × 25% × 40時間 = 15,000

式3 未払い額 = (式2 − その月に深夜割増として支払われた額) × 月数 → 支払いゼロなら 15,000 × 36か月 = 540,000

式1で除外できる手当は家族手当・通勤手当・住宅費に応じて算定される住宅手当など限定列挙されたものだけ(一律支給なら含める)で、資格手当・職務手当などは分子に含めます。 式3の「支払われた額」に固定額の夜勤手当を入れられるかは、賃金規程・契約書の記載だけでなく、通常の賃金部分と深夜割増部分が区分されているか、説明の内容、勤務実態などを総合して個別に判断されます(定額手当・固定残業代の有効性についての一般的な考え方)。「深夜割増を含む」と書いてあるだけで内訳が示せない手当は、全額を差し引く計算も、まったく差し引かない計算も、どちらも実際の請求額とずれる可能性があります。ここでは概算として割増部分と特定できる額だけを入れ、判断がつかない部分は相談先で確認する前提にしてください。 1回4,000円の夜勤手当(その4,000円が規程で深夜割増に充てる割増部分として区分されている場合)で深夜実働7時間なら法定額は1,500×25%×7=2,625円で不足なし、 手当が1回2,000円なら1回625円、月8回で5,000円の不足です。

基礎時給が1,100円なら月11,000円・36か月で396,000円、1,300円なら月13,000円・468,000円と、未払い額は基礎時給に比例します。 未払い賃金には遅延利息を付けて請求できるとされています。在職中は民法404条の法定利率(2026年時点で年3%。3年ごとに見直し)で、 540,000円が1年遅れた場合の単純計算は16,200円です。退職後は賃金の支払の確保等に関する法律6条により年14.6%(同法施行令)ですが、 対象は退職日の翌日(退職日までに支払期日が来ていない賃金はその支払期日の翌日)から支払われる日までの期間で、 天災地変や支払いの有無を裁判所・労働委員会で争っている期間などやむを得ない事由がある日数は除かれます(同法施行規則6条)。 たとえば退職後に丸1年支払われなかった場合の単純計算が78,840円で、実際の額は起算日と除外期間で変わります。 労働基準法114条の「付加金」(未払額と同一額まで)は 裁判で請求した場合に裁判所が判断するもので、自動的に付くものではありません。ここでの数字は交渉の出発点として扱ってください。

いつまで請求できる?(当分の間3年)

2020年4月の労働基準法改正(115条)により、賃金請求権の消滅時効は5年 (当分の間は3年)とされています。

未払い分を請求できる期間のイメージ(当分の間3年)
  1. 支払期日未払いの深夜割増が発生
  2. 3年以内請求できる期間の目安
  3. 3年経過後古い分から順次請求できなくなる

消滅時効は法改正上5年ですが、当分の間は3年とされています(労働基準法115条)。

支払期日から3年を過ぎた分から順次請求できなくなるため、 未払いの疑いがあるなら早めに確認・相談するのが得策です。

起算点は「権利を行使することができる時」(労働基準法115条)で、賃金なら各月の給与支払日です。 毎月の給与ごとに別々の3年が走り、支払日から3年たった月の分から順に消えます(附則143条で「当分の間3年」、本則は5年)。 内容証明郵便などで支払いを求める「催告」をすると6か月間は時効が完成せず(民法150条。再度の催告では延びません)、 その間に労働審判や訴訟を起こせば完成が猶予されます。労基署への申告そのものに時効を止める効果はありません。

在職中で3年に近い月がある人は、給与担当に計算根拠を書面で求め、回答が来なければ催告を先に出して期限を確保します。 退職済みの人は資料を揃えた時点で、労働局のあっせんか労働審判のどちらに進むかを早めに決めます。

労基署申告・あっせん・労働審判・少額訴訟の違い(比較表)

手段窓口費用期間の目安向いているケース注意点
労基署への申告労働基準監督署(労働基準法104条)無料事案による深夜割増がまったく払われていないなど法違反が明確で、会社全体に是正させたい是正勧告は行政指導で、個人の未払額を取り立てる手続きではない。申告を理由とする不利益取扱いは禁止
労働局のあっせん都道府県労働局(紛争調整委員会)無料期日は原則1回話し合いの余地があり、金額に折り合いを付けたい会社の参加は任意で、不参加なら打ち切り。合意に判決のような強制力はない
労働審判地方裁判所(裁判官1名+労働審判員2名)手数料は訴訟の半額(請求額50万円なら2,500円)+郵便切手原則3回以内の期日。平均審理期間82.6日、65.5%が3か月以内に終了金額が数十万円以上で、会社が任意に払わない審判に2週間以内の異議が出ると訴訟に移行。主張と証拠は初回期日までに出し切る
少額訴訟簡易裁判所手数料は請求額50万円なら5,000円+郵便切手原則1回の期日で判決請求額60万円以下で、明細・シフト表が揃い争点が少ない同じ簡裁で年10回まで。被告が求めれば通常訴訟に移る。控訴不可(異議は可)
表の期間・費用は一般的な目安です。送達費用・管轄・争点の多さ・相手方が通常訴訟への移行を求めるかなどで実際の負担は大きく変わり、 「金額が小さければ少額訴訟」といった選び方も個別事案では当てはまらないことがあります。手続の選択は法テラス・弁護士会の法律相談や裁判所の窓口で確認してください。

金額が小さく資料が揃っているなら少額訴訟、話し合いたいならあっせん、金額が大きく会社が応じないなら労働審判、 会社全体で計算が間違っている疑いがあるなら労基署への申告(他の手段と並行可)という順で考えると整理しやすくなります。 手数料は裁判所の「手数料額早見表」で請求額ごとに確認できます。

各手続きの根拠をくわしく読む
労働審判は労働審判法、少額訴訟は民事訴訟法368条以下、あっせんは個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律、 労基署への申告は労働基準法104条に基づきます。労働審判の平均審理期間・3か月以内終了率は裁判所「労働審判手続」ページの掲載値です(確認日2026-09-06)。

どこに相談する?何を準備する?

  1. まず勤務先に説明を求める

    賃金規程・計算根拠の説明を求めます(誤解や計算方法の違いのことも多い)。
  2. 解決しなければ公的な相談窓口へ

    労働基準監督署や各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料・匿名可)が利用できます。
  3. 金額が大きい・争いになりそうなら専門家へ

    社会保険労務士・弁護士などの専門家に相談します。

いずれの場合も、シフト表・タイムカードの写し、給与明細、雇用契約書(労働条件通知書)を 手元に揃えておくと話が早く進みます。

本来の概算額をツールで出しておく

夜勤手取り計算ツールに自分のシフト(勤務時間帯・休憩)を登録すると、 深夜割増込みの本来の概算額がわかるので、給与明細と見比べる出発点になります。 1回分だけなら夜勤手当 早見計算でも計算できます。

あなたの手取りはいくら?

シフトをタップで置くだけ。登録不要で今月の手取りを予測できます。

手取り計算ツールを使ってみる →1回分だけ知りたい方は 夜勤手当 早見計算 →

よくある質問

給与明細に「夜勤手当」の項目がなければ違法ですか?

必ずしも違法ではありません。法律上の支払い義務があるのは「深夜割増賃金」(22時〜翌5時の労働に基礎時給の25%以上)であり、名称は問われません。深夜割増が別の名目で支払われている場合や、固定額の夜勤手当に割増分を含める賃金設計の場合もあります。その場合は、支払われている額が「基礎時給×25%×深夜帯実働時間」の法定額を下回っていないかが問題になります。ただし法定額と比べられるのは、賃金規程で深夜割増に充てると定められ、通常の賃金部分と区分されている割増部分だけです。区分が分からない手当は足さずに、就業規則・賃金規程や給与担当に確認してください。

未払いの深夜割増は何年前の分まで請求できますか?

2020年4月の労働基準法改正(115条)により、賃金請求権の消滅時効は5年(当分の間は3年)とされています。実務上は支払期日から3年間が請求できる期間の目安で、3年を過ぎた分から順次請求できなくなります。時効の進行を止める方法(催告・裁判上の請求など)もあるため、具体的な対応は労働基準監督署や弁護士・社会保険労務士等にご相談ください。

労働基準監督署に相談すれば未払い分を取り戻してもらえますか?

労働基準監督署は労働基準法違反の有無を調査し、違反があれば是正勧告などの行政指導を行いますが、個人の未払額を代わりに取り立てる機関ではありません。会社が指導に従って支払うことも多い一方、支払われない場合は労働局のあっせん、労働審判、少額訴訟などの手続きを自分で選ぶことになります。申告を理由とする解雇その他の不利益な取扱いは労働基準法104条で禁止されています。

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出典・参考資料

※ 本記事および紹介ツールの計算結果は概算であり、実際の給与は勤務先の規定によります。

※ 未払いかどうかの判断は賃金規程・勤務実態などの個別事情により異なり、本記事は断定的な 法的判断を示すものではありません。正確な判断は労働基準監督署または弁護士・社会保険労務士等の 専門家にご確認ください。