解説記事

夜勤手当が支払われないのは違法?
給与明細の確認手順と未払い分の請求期限

・ 読了 約5

30秒でわかる結論

  • 22時〜翌5時に働いたのに深夜割増(基礎時給の25%以上)に相当する支払いがまったくなければ、未払い賃金として請求できる可能性がある
  • ただし「夜勤手当」の項目が明細になくても違法とは限らない。名称ではなく金額で確認する
  • 請求できる期間の目安は支払期日から当分の間3年。モデルケースでは3年分で54万円になりうる

本来の概算額を自分のシフトで計算する(無料)

「夜勤手当がない」=「違法」とは限らない

まず整理したいのは、「夜勤手当」と「深夜割増賃金」は別物だという点です。

  • 深夜割増賃金: 労働基準法37条4項に基づく支払い義務。22時〜翌5時の労働に25%以上
  • 夜勤手当: 会社が就業規則・賃金規程で独自に定める手当。法律上の支給義務はない

そのため、「夜勤手当」という項目がなくても、深夜割増賃金が別の名目で支払われていれば 違法ではありません。

逆に、固定額の夜勤手当(例: 1回4,000円)に深夜割増分を含める賃金設計の会社もあり、 その場合は固定額が法定の割増額を下回っていないかが問題になります。 どちらのパターンかは就業規則・賃金規程で確認できます。

大事なのは名称ではなく金額です。 深夜割増賃金に相当する支払いがまったくなければ、労働基準法37条違反の未払い賃金として 請求できる可能性があります。

給与明細で何を確認する?(3ステップ)

  1. 深夜帯の実働時間を数える

    シフト表やタイムカードから、22時〜翌5時に働いた時間を月単位で合計します(休憩時間は除く)。
  2. 基礎時給を出す

    月給制なら「月給 ÷ 月平均所定労働時間」で求めます。
  3. 比べる

    「基礎時給 × 25% × 深夜帯実働時間」と、明細の深夜割増・夜勤手当欄の合計額を見比べます。
基礎時給から除外できる手当をくわしく読む
家族手当・通勤手当・住宅手当など、割増賃金の算定基礎から除外できる手当もあります(労働基準法37条5項)。 基礎時給を出すときは、これらを除いた賃金をもとに計算します。

未払いならいくらになる?(計算例)

月給255,000円・月平均所定労働時間170時間の人なら、基礎時給は 255,000 ÷ 170 = 1,500円です。 深夜帯の実働が月40時間ある場合、深夜割増は最低でも次の金額になります。

区分金額の目安
深夜割増(1,500円×25%×40時間)15,000円/月
まったく支払われていない場合の3年分(36か月)540,000円
未払い分は積み重なる(月給255,000円・深夜実働40時間/月のモデル)

1か月分の深夜割増

15,000円

1,500円 × 25% × 40時間

3年分(36か月)

540,000円

まったく支払われていない場合

毎月は小さく見える金額でも、さかのぼると数十万円の規模になりえます。

いつまで請求できる?(当分の間3年)

2020年4月の労働基準法改正(115条)により、賃金請求権の消滅時効は5年 (当分の間は3年)とされています。

未払い分を請求できる期間のイメージ(当分の間3年)
  1. 支払期日未払いの深夜割増が発生
  2. 3年以内請求できる期間の目安
  3. 3年経過後古い分から順次請求できなくなる

消滅時効は法改正上5年ですが、当分の間は3年とされています(労働基準法115条)。

支払期日から3年を過ぎた分から順次請求できなくなるため、 未払いの疑いがあるなら早めに確認・相談するのが得策です。

どこに相談する?何を準備する?

  1. まず勤務先に説明を求める

    賃金規程・計算根拠の説明を求めます(誤解や計算方法の違いのことも多い)。
  2. 解決しなければ公的な相談窓口へ

    労働基準監督署や各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料・匿名可)が利用できます。
  3. 金額が大きい・争いになりそうなら専門家へ

    社会保険労務士・弁護士などの専門家に相談します。

いずれの場合も、シフト表・タイムカードの写し、給与明細、雇用契約書(労働条件通知書)を 手元に揃えておくと話が早く進みます。

本来の概算額をツールで出しておく

夜勤手取り計算ツールに自分のシフト(勤務時間帯・休憩)を登録すると、 深夜割増込みの本来の概算額がわかるので、給与明細と見比べる出発点になります。 1回分だけなら夜勤手当 早見計算でも計算できます。 登録不要・データはお使いの端末内にのみ保存されます。

あなたの手取りはいくら?

シフトをタップで置くだけ。登録不要で今月の手取りを予測できます。

手取り計算ツールを使ってみる →1回分だけ知りたい方は 夜勤手当 早見計算 →

よくある質問

給与明細に「夜勤手当」の項目がなければ違法ですか?
必ずしも違法ではありません。法律上の支払い義務があるのは「深夜割増賃金」(22時〜翌5時の労働に基礎時給の25%以上)であり、名称は問われません。深夜割増が別の名目で支払われている場合や、固定額の夜勤手当に割増分を含める賃金設計の場合もあります。その場合は、支払われている額が「基礎時給×25%×深夜帯実働時間」の法定額を下回っていないかが問題になります。就業規則・賃金規程での定めを確認してください。
未払いの深夜割増は何年前の分まで請求できますか?
2020年4月の労働基準法改正(115条)により、賃金請求権の消滅時効は5年(当分の間は3年)とされています。実務上は支払期日から3年間が請求できる期間の目安で、3年を過ぎた分から順次請求できなくなります。時効の進行を止める方法(催告・裁判上の請求など)もあるため、具体的な対応は労働基準監督署や弁護士・社会保険労務士等にご相談ください。

関連記事

出典・参考資料

※ 本記事および紹介ツールの計算結果は概算であり、実際の給与は勤務先の規定によります。

※ 未払いかどうかの判断は賃金規程・勤務実態などの個別事情により異なり、本記事は断定的な 法的判断を示すものではありません。正確な判断は労働基準監督署または弁護士・社会保険労務士等の 専門家にご確認ください。