解説記事

ダブルワークで夜勤すると残業代はどうなる?
労働時間の通算と深夜割増を解説
公開日 ・ 最終更新日 ・ 読了 約8分
執筆: 夜勤ツールズ編集部
みずき、「会社が別なら残業なし?」を確かめる
昼はカフェ夜はコンビニ今月もよく働いた!
会社が別なら残業じゃない…?深夜の分だけ1.25倍よね
勤務先が違っても通算⁉カフェの8時間と合算なんだ
深夜と残業で計50%増かもよし、確認しよみずきさんの「会社が別なら残業じゃない」は実はよくある誤解で、 労働基準法38条により労働時間は勤務先が違っても原則として通算されます。 昼の仕事で法定の8時間に達した日の副業夜勤は、最初から時間外扱いになりえて、 深夜割増(+25%)と重なると合計+50%になる場合があります (どちらの勤務先が負担するかは契約順序などの個別事情で変わります)。 この記事では、金曜22時〜翌2時のコンビニ副業(時給1,400円・月4回)のモデルで、差額を順番に計算していきます。
30秒でわかる結論
- 労働時間は勤務先が違っても合算(通算)される。本業8時間の日の副業夜勤は最初から残業扱いになりうる
- 時間外25%+深夜25%で合計50%増になることも(金曜夜のコンビニ副業モデルで試算)
- 深夜割増は通算と無関係。22時〜翌5時に働けば付く
労働時間はどう合算される?
労働基準法38条により、労働時間は勤務先(会社)が違っても通算されます。 厚生労働省のガイドライン・通達による一般的な整理は次のとおりです。
- 所定労働時間は「労働契約を先に締結した順」に通算する
- 所定外労働時間は「実際に行われた順」に通算する
- 通算して法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える部分を発生させた使用者が 時間外割増を支払う
- 副業先は労働者からの自己申告により本業の労働時間を把握する運用が想定されている
法令の根拠をくわしく読む
誤解と根拠: どちらの会社が割増を払う?
| よくある誤解 | 通達・法令の整理 | 根拠(2026年9月6日確認) |
|---|---|---|
| 会社が別なら残業にならない | 事業場が異なっても労働時間は通算し、1日8時間・週40時間を超えた部分が時間外労働になる | 労働基準法38条1項 |
| 割増は例外なく副業先が払う | 所定労働時間は契約の先後順、所定外労働(残業)は実際に行われた順に通算し、法定超を生じさせた側が払う。本業で残業した日はその残業が法定超となり本業側の負担 | 令和2年9月1日 基発0901第3号 |
| 「管理モデル」なら割増は不要 | 使用者A(先契約)は自社の法定外労働時間に、使用者B(後契約)は自社の労働時間すべてに割増を払う前提で上限を設定する簡便法 | 副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月改定) |
通達・ガイドラインの原文に近い形で読む
通算される?されない?を整理
時間外割増は「合計何時間働いたか」で決まり、深夜割増は「何時に働いたか」で決まります。 この違いが通算の有無を分けます。
| 割増の種類 | 本業と副業で通算される? | 理由 |
|---|---|---|
| 時間外割増(+25%) | 通算される | 1日8時間・週40時間を超えたかは、合計の労働時間で判定するため |
| 深夜割増(+25%) | 通算と無関係に発生 | 22時〜翌5時に働いたかという時刻ベースのルール。その時間帯に働かせた勤務先がそれぞれ支払う |
副業が深夜バイトなら、通算とは別に深夜帯の労働そのものへの深夜割増の支払いが必要です。
金曜夜のコンビニ副業でいくら変わる?(計算例)
次のモデルケースで、通算あり・なしの差額を計算します。

- 本業: 月〜金 9:00〜18:00(休憩1時間・実働8時間)の会社員(先に契約)
- 副業: 金曜 22:00〜翌2:00(実働4時間・休憩なし)のコンビニ夜勤、時給1,400円、月4回
金曜の通算労働時間は 8時間+4時間=12時間。本業で法定労働時間の8時間に達しているため、 このモデルでは副業の4時間はすべて法定時間外として計算します。
日をまたぐ深夜0時〜2時の分も「金曜の労働」として数える根拠
さらに22:00〜翌2:00はすべて深夜帯。 時間外25%+深夜25%=50%増が全時間に適用されます。
このモデルの副業4時間(22:00〜翌2:00)は、通算により全時間が一番下の「深夜×残業」に該当します。
| 計算パターン | 金額の目安 |
|---|---|
| 通算を反映(1,400円×1.5×4時間) | 8,400円/回 |
| 深夜割増のみ(1,400円×1.25×4時間) | 7,000円/回 |
| 差額(月4回) | 5,600円/月 |
時間外の通算が反映されるかどうかで、月5,600円・年間では6万7,200円の差になる計算です。
本業8時間+副業4時間(うち深夜2時間)を式で展開
時給1,400円・本業で実働8時間を終えた日に、副業20:00〜24:00(休憩なし)へ入った1回分です。
副業1回分の内訳(通算を反映)
① 基礎賃金 = 1,400円×4時間 = 5,600円
② 時間外割増 = 1,400円×25%×4時間(通算で全時間が法定超) = 1,400円
③ 深夜割増 = 1,400円×25%×2時間(22:00〜24:00の分だけ) = 700円
合計 ①+②+③ = 7,700円/回。通算を反映しないと ①+③ = 6,300円/回で、差は②の1,400円(月4回で5,600円)
②は副業の労働時間×25%で決まり深夜の長さとは無関係、③は22時〜翌5時に重なる時間×25%で通算とは無関係です。
副業の時間帯3パターンの割増比較表
時給1,400円・1回4時間、本業は月〜金・実働8時間(週40時間)で、本業の労働契約が先に締結され、副業はその後に契約した前提です。 所定労働時間は契約締結の先後の順に通算されるため、副業の契約のほうが先なら通算の順序が逆になり、時間外割増を負担する勤務先と単価は下表のとおりになりません(その場合は先に契約した副業の所定労働時間から通算するため、後から契約した本業の所定労働時間の一部が法定枠を超えて割増の対象になることもあり、どちらの勤務先がいくら負担するかは契約順と勤務実態で決まります)。
| 副業の時間帯 | 時間外 | 深夜 | 1回4時間の賃金 | 計算過程 |
|---|---|---|---|---|
| 平日 18:00〜22:00 | +25% | なし | 7,000円 | 1,400円×(1+0.25)×4時間 |
| 平日 22:00〜翌2:00 | +25% | +25%(4時間すべて) | 8,400円 | 1,400円×(1+0.25+0.25)×4時間 |
| 土曜 10:00〜14:00(本業は休み) | +25%(週40時間到達後) | なし | 7,000円 | 同上。本業が週40時間未満なら割増なしの5,600円 |
土曜でも「休日だから+35%」にはなりません。法定休日割増は副業先自身の法定休日の労働に付くもので、本業が休みというだけでは対象外です。本業で週40時間に達していれば通算で法定超となり時間外の+25%が付く整理です(週の起算日は各事業場の就業規則によります)。
自分の副業で試算してみる
時間外割増(通算)は本業・副業の契約締結順序や所定外労働の発生順序で結論が変わるため、 自分の場合を一律に試算することはできません。一方、深夜割増(+25%)は、 労働基準法上の労働者であれば、原則として「22時〜翌5時に働いたか」という 時刻で決まるため、自分の時給・時間帯・回数を入れて深夜割増額を確かめられます。
深夜割増込みで提示された時給を入力すると、深夜割増が二重に加算されます。求人票等に記載の基礎時給(深夜割増前の金額)を入力してください。
この時給は深夜割増額の計算に使う算定基礎です。除外対象でない手当(職務手当・資格手当等)がある場合は、その分も含めた金額を入力してください。
月額で支給される手当は、1か月平均所定労働時間(年間の所定労働時間を12で割った時間。就業規則等に記載されている場合はその値)で割って時給に換算してから加えてください(例: 月額16,000円の手当・1か月平均所定労働時間160時間なら、時給に100円を上乗せ)。月額をそのまま時給に加えると、深夜割増額が大幅に過大計算されます。端数の扱いは勤務先の計算規程によります。不明な場合は給与担当にご確認ください。
深夜割増額(月4回)
¥5,600
1回あたりの深夜割増¥1,400× 月4回(端数処理により一致しない場合があります)。時間外割増の通算は含みません。労働基準法上の労働者であれば、暦日をまたいでも 深夜割増の計算方法は原則として変わりません。
法定最低率(+25%)での概算です。就業規則や契約でこれを超える割増率が定められている場合があります。
- 実労働時間(休憩控除後)
- 4.0時間
- うち深夜時間(22:00〜翌5:00)
- 4.0時間
副業する側の注意点は?
- 通算で法定労働時間を超えて働かせるには、副業先でも36協定の締結・届出が必要です
- 副業の収入は原則確定申告の対象になりえます(税金の扱いは個別事情によります)
- 睡眠時間を削る掛け持ちは健康リスクと隣り合わせです。ガイドラインも労使双方に 就業時間・健康状態の管理を求めています
社会保険の二以上勤務と確定申告の確認手順
契約書と給与明細を手元に置いて確認します(数値は2026年9月6日時点。日本年金機構・国税庁の公表資料による)。
副業先で社会保険の加入要件に当たるかを契約書で見る
まず企業規模にかかわらず、その勤務先の通常の労働者の所定労働時間・所定労働日数のおおむね4分の3以上働く人は加入対象です。それに満たない短時間労働者は「週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・学生でない」を満たし、被保険者数51人以上の勤務先なら加入対象になります(賃金要件は令和8年10月に撤廃予定と案内)。副業先が週2回×8時間=16時間なら短時間労働者の要件には当たりませんが、通常の労働者の所定時間が短い事業所では4分の3基準に当たることがあるため、勤務先に確認します。週3回×8時間=24時間なら両方で要件に当たりえます。
両方で満たすなら10日以内に「二以上事業所勤務届」を年金事務所へ
標準報酬月額は両社の報酬を合算し、保険料は各社の報酬で按分。雇用保険は主たる賃金を受ける1社のみ(65歳以上はマルチジョブホルダー制度あり)。
副業の年収を出して確定申告の要否を判定する
副業先は乙欄で源泉徴収され年末調整されません。このモデルなら 8,400円×4回×12か月=403,200円で「年末調整されなかった給与の収入金額と他の所得の合計が20万円超」に当たり、翌年2月中旬〜3月中旬に確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告要否は市区町村に確認します。
会社への申告と相談先
- これから始める: 本業の就業規則で副業の届出・許可の定めを確認し、副業先には本業の所定労働時間と残業の頻度を書面かメールで伝えて控えを残します。
- 副業先の明細に時間外割増がない: 契約書の時給が割増込みかを確認し、給与担当に本業の労働時間を申告済みか照会。進まなければ契約書・シフト表・明細を持って労働基準監督署の総合労働相談コーナーへ(請求権の時効は当分の間3年とされています)。
自分の副業夜勤分を試算するには
夜勤手取り計算ツールは1つの勤務先単位の概算ツールで、副業先のシフト(勤務時間帯・時給)を 登録すれば深夜割増込みの収入目安を確認できます。時間外割増が通算でどう付くかは 契約順序などの個別事情によるため、ツールの計算対象外です(1回分だけなら夜勤手当 早見計算も使えます)。
よくある質問
深夜割増も本業と副業で通算されますか?
いいえ。通算されるのは時間外割増の判定に使う労働時間(1日8時間・週40時間)です。深夜割増(+25%)は「22時〜翌5時に働いたか」という時刻ベースのルールなので、通算とは関係なく、その時間帯に労働させた勤務先がそれぞれ自社での深夜労働分を支払います。副業が深夜バイトなら、時間外の扱いがどうであれ深夜割増は付きます。
副業先に本業の労働時間を伝える必要はありますか?
厚生労働省のガイドライン・通達の整理では、副業先(使用者)は労働者からの自己申告により他社での労働時間を把握することが想定されています。申告がないと副業先は労働時間を通算した時間外割増の判断ができないため、面接・契約時に本業の所定労働時間や勤務日を正しく伝えておくことが、正しい賃金計算と自身の健康管理の両方の出発点になります。
副業の収入が年20万円以下なら、何も手続きはいりませんか?
所得税については、年末調整されなかった給与の収入金額と他の所得の合計が20万円以下なら確定申告をしなくてよいとされています(国税庁タックスアンサーNo.1900)。ただしこれは所得税の基準で、住民税には別の取り扱いがあり、市区町村への申告が必要とされる場合があります。医療費控除などで確定申告をする年は、20万円以下でも副業分を含めて申告します。
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出典・参考資料
- 厚生労働省「副業・兼業」(副業・兼業の促進に関するガイドライン)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-08-10
- 「副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等について」(令和2年9月1日基発0901第3号)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-08-10
- 労働基準法(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: e-Gov法令検索(所管: 厚生労働省)・確認日: 2026-08-10
- 「改正労働基準法の施行について」(昭和63年1月1日基発第1号。継続勤務が2暦日にわたる場合の「1日」の取り扱い)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-08-24
- 「副業・兼業の促進に関するガイドライン」本文(令和4年7月8日改定。管理モデル・確定申告の記述)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-09-06
- 日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」(二以上事業所勤務届)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 日本年金機構・確認日: 2026-09-06
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」(加入要件)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 日本年金機構・確認日: 2026-09-06
- 厚生労働省「雇用保険制度 Q&A〜事業主の皆様へ」(複数の会社で雇用される場合の被保険者資格)(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-09-06
- 厚生労働省「Q&A〜雇用保険マルチジョブホルダー制度」(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 厚生労働省・確認日: 2026-09-06
- 国税庁タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 国税庁・確認日: 2026-09-06
※ 本記事および紹介ツールの計算結果は概算であり、実際の給与は勤務先の規定によります。
※ 労働時間の通算・割増賃金の負担者に関する記述はガイドライン・通達に基づく一般的な整理であり、 契約の順序や勤務実態などの個別事情により異なります。税に関する記述も概算・一般論です。 正確な判断は労働基準監督署または弁護士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。