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解説記事

消防士(公務員)の夜勤手当は
どう決まる?給与条例の調べ方ガイド

公開日 ・ 最終更新日 ・ 読了 約6

執筆: 夜勤ツールズ編集部

しげさん、30年の経験則が通じない

※ 登場人物は架空であり、よくあるご相談をもとにしたモデルケースです。

しげさんの「深夜は25%増」は、民間なら全国共通のルール(労働基準法37条)。 消防士(地方公務員)にも労働基準法の多くの規定が適用されるものの、勤務区分や条例の定めによって具体的な適用関係が変わるため、 「全国一律いくら」とは言い切れません。実在の条例(浜松市の例)を原文で確認しながら、 「どう決まるか」と「自分の自治体での調べ方」を整理します。

30秒でわかる結論

  • 消防士(消防吏員)をふくむ一般職の地方公務員にも労働基準法の多くの規定が適用されるが、勤務区分(交替制・宿日直の許可等)や条例の定めにより具体的な適用関係は変わる
  • 夜勤分の手当は自治体の給与条例で決まる(例: 浜松市では22時〜翌5時の勤務1時間につき「勤務1時間当たりの給与額」の100分の25を夜間勤務手当として支給)
  • 金額は「算定基礎 × 率 × 深夜帯の勤務時間」という計算のかたちで決まり、「全国一律◯◯円」という金額を示すことはできない
  • 宿日直手当は許可を受けた断続的勤務に対する別制度で、通常の交替制夜勤への手当と区別する

民間企業の夜勤手取りを試算する(無料)

警備30年の常識は、消防にそのまま通じる?

消防吏員をふくむ一般職の地方公務員には、 地方公務員法58条3項が列挙する一部の条文を除いて労働基準法の多くの規定が適用されます。 ただし、交替制勤務(当務)なのか、労働基準法41条3号の 許可を受けた宿日直勤務(断続的勤務)なのかという勤務区分や、 勤務時間の割振り・給与の算定を条例・規則がどう定めているかによって、深夜帯の勤務に どの手当がどう付くかという具体的な適用関係は自治体・ケースごとに変わります

「民間と同じ25%増のはず」と明細を読み切ることはできず、 細かい付き方は自治体と勤務の形しだいです。

実在の例として、政令指定都市で浜松市消防局を置く浜松市の給与条例は、夜間勤務手当をこう定めています。

「正規の勤務時間として午後10時から翌日午前5時までの間に勤務する職員には、その間に勤務した全時間に対して 勤務1時間につき第18条に規定する勤務1時間当たりの給与額の100分の25を夜間勤務手当として支給する。」
— 浜松市職員の給与に関する条例(昭和31年浜松市条例第38号)17条(浜松市例規集で原文確認・確認日2026-08-23)
算定基礎「勤務1時間当たりの給与額」の詳しい定め(浜松市18条)
算定基礎となる「勤務1時間当たりの給与額」は同条例18条が定めており、給料の月額とこれに対する 地域手当の月額(へき地手当の月額を含む)の合計額に12を乗じ、「1週間当たりの勤務時間×52から 規則で定める時間を減じたもの」で除して得た額とされています。どの手当を算定基礎に含めるか、 除数(年間の勤務時間の置き方)をどうするかは、このように条例・規則の定め次第で、 他の自治体では細部が異なります。
夜勤分の賃金はどう決まる?民間と消防士の対応関係

民間企業

深夜割増(労基法37条)

深夜帯(22時〜翌5時)は+25%以上の割増(全国共通の最低基準)

消防士(地方公務員)

夜間勤務手当(給与条例)

例: 浜松市では勤務1時間当たりの給与額の25/100(給与条例17条)。名称・算定基礎・要件は自治体の条例による

地方公務員にも労働基準法の多くの規定が適用されますが、消防は勤務区分(交替制・宿日直の許可等)や条例の定めにより具体的な適用関係が変わります。

消防士の夜勤分の手当は「自治体の給与条例がどう定めているか」で決まります。 条例の原文は例規集で誰でも確認できます(手順は後半で案内します)。

では、いくらぐらい?——金額例ではなく「計算のかたち」で掴む

夜の自宅でスマホとノートを並べ、内定先の給与条例を調べるしげさん
しげさんも夜な夜な条例を調査中。金額そのものより「計算のかたち」を掴むのが近道です。

本記事では「1回◯◯円」という金額例をあえて示しません。浜松市の例から読み取れる計算のかたちはこうです。

算定基礎(勤務1時間当たりの給与額)× 率(例: 25/100)× 深夜帯の勤務時間

金額を左右する4要素の詳しい内訳(給料月額・算定基礎・除数・率)
金額を左右するのは、(1)本人の給料月額(経験年数・階級で変わる)、(2)算定基礎に含める手当の範囲、 (3)除数(年間の勤務時間の置き方)、(4)率——の4要素で、いずれも自治体の条例・規則の定め次第です。 特定の仮定を置けば試算はできますが、その数字が「相場」として独り歩きするおそれがあるため、 金額例の代わりに後述の「自分の自治体の条例で確認する手順」を紹介します。

このほか、夜間勤務手当とは別枠の上乗せとして、 特殊勤務手当を置く自治体もあります。

浜松市の特殊勤務手当の詳しい条文と対象範囲の条件・例外

浜松市の特殊勤務手当条例には、正規の勤務時間の全部または一部が 深夜(22時〜翌5時)に行われる業務に従事したときに勤務1回につき1,100円(深夜の一部を含む勤務は730円、 深夜の勤務が2時間未満のときは410円)を支給する夜間等特殊業務手当(9条)や、 救急救命業務・災害時の危険を伴う業務などに対する消防勤務手当(15条)の 定めがあります(浜松市職員の特殊勤務手当に関する条例・確認日2026-08-23)。

ただし、対象範囲には注意が必要です。各特殊勤務手当の対象職員・対象業務は条例・規則が個別に定めており、 浜松市の条文でも、夜間等特殊業務手当(9条)の対象は「職員」一般(病院・夜間救急室の看護師には別区分の定めあり)で 深夜に行われる業務への従事が要件、消防勤務手当(15条)は消防職員が対象ですが緊急走行運転・救助・救急救命など列挙された特定の業務・作業に従事したときに限って支給されるもので、 深夜の交替制勤務そのものに支給される手当ではありません。また、日額・当務額の特殊勤務手当は原則として 併給されない定めもあります(同条例17条)。消防吏員の通常の交替制勤務にどの手当がどう適用されるかは、 勤務時間の割振りや規則・運用を含む自治体ごとの定めによります。ここでの引用は 「こうした制度が条例に存在する」ことの例示であり、支給実態を示すものではありません。

ここで挙げた条文・金額は浜松市の条例に基づく一例であり、「消防士の夜勤手当は全国一律◯◯円」といった金額を示すことはできません。 自分の勤務にどう適用されるかは、志望・所属先の人事・給与担当課への確認が最も確実です。

「宿日直手当」は別制度——深夜帯の手当と混同しない

消防の給与でもうひとつ紛らわしいのが宿日直手当です。 これは労働基準法41条3号の「監視・断続的労働」として許可を受けた宿直・日直勤務(仮眠が中心で労働密度の低い勤務)に対して、 勤務1回につき定額を支給する別制度で、国の給与法でも夜勤手当(18条)とは別の条文(19条の2)に置かれています。

宿日直手当の詳しい定め(浜松市の給与条例19条)
浜松市の給与条例でも、宿日直手当(19条)は勤務1回につき定額(規則で定める額。条例上は5,200円等の上限)を 支給する別制度として置かれ、同条3項は宿日直勤務が時間外勤務手当・休日勤務手当・夜間勤務手当(15条〜17条)の 対象となる勤務には含まれないことを明記しています。

手がかりになる数字: 平均給料月額

相場はなくても、総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」の第5表(職種別職員の平均給与額)によると、 全地方公共団体の消防職(職員数16万4,346人)の平均給料月額(基本給に相当する給料表上の金額)は308,642です(令和6年4月1日現在の調査)。

これは全国の消防職員の平均値であり、地域手当・扶養手当・夜間勤務手当などの諸手当は含まれていません。

給料月額から手取りまでの控除の詳しい内訳(共済組合掛金など)
実際の月々の支給額は、この給料月額に各種手当を加えた額面から、地方公務員共済組合の掛金 (短期給付・長期給付)、所得税、住民税などが控除されて手取りが決まります。 共済組合の掛金率は協会けんぽ・厚生年金の料率とは別建てで定められているため、 民間向けの社会保険料計算式をそのまま当てはめることはできない点にもご注意ください。

しげさん流・内定先の条例の調べ方(実践ガイド)

ほとんどの自治体は、条例・規則の全文データベース「例規集」をWebで公開しています。「◯◯市 例規集」で検索して開き、次の順にたどってください。

  1. 例規集で「職員の給与に関する条例」を探す

    例規集の体系目次では「給与」「給料・手当」の章に給与条例がまとまっています(浜松市の例規集では「給与」の類の「給料・手当」の章)。消防組合(一部事務組合)が消防を運営する地域では、組合の例規集を探します。
  2. 夜間勤務手当・宿日直手当の条文を読む

    給与条例の中の「夜間勤務手当」の条(浜松市では17条)で率と支給要件を、「勤務1時間当たりの給与額」の条(同18条)で算定基礎を、「宿日直手当」の条(同19条)で宿日直の扱いを確認します。
  3. 特殊勤務手当条例と別表を確認する

    夜間の業務への定額手当などは「職員の特殊勤務手当に関する条例」側に置かれていることが多く、金額は本文または別表にまとまっています(浜松市では夜間等特殊業務手当・消防勤務手当など)。
  4. 採用案内・募集要項を確認する

    志望する消防本部・自治体の採用案内に、初任給や手当の記載があります。
  5. 人事・給与担当課などに問い合わせる

    条文を読んでも自分の勤務への適用関係がわからない場合は、志望・所属先の人事・給与担当課への確認が最も確実です。在職者は職員団体(組合)に相談する方法もあり、勤務条件については人事委員会等が労働基準監督機関の職権を行う場合があります。
適用関係の法令をくわしく読む
地方公務員法58条(他の法律の適用除外等)3項は、職員に適用しない労働基準法の条文を限定列挙しています (2条、14条2項・3項、24条1項、32条の3〜32条の5、38条の2第2項・3項、38条の3、38条の4、 39条6〜8項、41条の2、75条〜93条、102条など。e-Gov法令検索で確認、確認日2026-08-23)。 法定労働時間(32条)や割増賃金(37条)はこのリストに含まれていません。同法58条4項は32条の2第1項・ 34条2項ただし書・37条3項・39条4項について労使協定を条例等に読み替える特例を定め、同条5項により 勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、非現業の職員については原則として人事委員会 (置かない団体では長)が行います。もっとも、消防吏員のような交替制の公安職では、勤務時間・休憩の 具体的な定め方に条例・規則と労働基準法の特例(33条3項の公務のための臨時の必要による時間外勤務など)が関わり、 労働基準法41条3号の許可を受けた宿日直勤務(断続的勤務)には労働時間・休憩等の規定が適用されないなど、 勤務区分によって適用関係が変わります。国家公務員については一般職の職員の給与に関する法律18条が 「正規の勤務時間として午後10時から翌日の午前5時までの間に勤務することを命ぜられた職員には、 勤務1時間につき勤務1時間当たりの給与額の100分の25を夜勤手当として支給する」と定めており (勤務1時間当たりの給与額の算出は同法19条)、浜松市の給与条例17条・18条はこれと同様の構造です。 宿日直手当は同法19条の2に対応する別制度です。個別の適用関係は、条文の一般的な整理だけで判断せず、 所属自治体の人事・給与担当等に確認してください。

本ツールでの試算について

夜勤手取り計算ツール(無料)は労働基準法37条の深夜割増(+25%)などを前提とした民間企業向けの計算ロジックのため、給料月額から算出した算定基礎で 手当が決まる消防士の給与にそのまま適用することはできず、深夜帯の時間配分をイメージする参考程度に とどめてください(民間の夜勤で働く方・民間への転職を検討している方はそのまま試算できます)。

あなたの手取りはいくら?

シフトをタップで置くだけ。登録不要で今月の手取りを予測できます。

手取り計算ツールを使ってみる →1回分だけ知りたい方は 夜勤手当 早見計算 →

よくある質問

消防士の夜勤手当は、民間企業の深夜割増(25%)と同じ考え方で計算されますか?

似た構造の手当を置く自治体はありますが、「同じ」とは言い切れません。消防吏員をふくむ一般職の地方公務員にも労働基準法の多くの規定が適用されます(地方公務員法58条3項が適用しない条文を限定列挙しています)。ただし消防の場合、交替制勤務(当務)か労働基準法41条3号の許可を受けた宿日直勤務かという勤務区分や、条例・規則による勤務時間・給与の定め方によって、深夜帯の勤務への手当の付き方(具体的な適用関係)が変わります。例えば浜松市の給与条例は、正規の勤務時間として22時〜翌5時に勤務した1時間につき「勤務1時間当たりの給与額」の100分の25を夜間勤務手当として支給すると定めていますが(浜松市職員の給与に関する条例17条・確認日2026-08-23)、手当の名称・算定基礎・支給要件は自治体の条例によります。個別のケースの適用関係は、所属自治体の人事・給与担当や職員団体(組合)、勤務条件に関する監督機関(人事委員会等。民間労働者の場合は労働基準監督署)に確認してください。

消防士の給料・手当の正確な金額はどこで確認できますか?

本記事で紹介した条文・金額は浜松市の条例など一部の実例であり、実際の給料表・手当額は自治体ごとに条例・規則で個別に定められています。ほとんどの自治体は条例の全文データベース「例規集」をWebで公開しているので、「◯◯市 例規集」で検索し、給与条例の夜間勤務手当・宿日直手当の条文と特殊勤務手当条例の別表を確認できます。志望・所属する消防本部や自治体の採用案内、人事・給与担当課に確認するのが最も確実な方法です。

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出典・参考資料

※ 本記事および紹介ツールの計算結果は概算であり、実際の給与は勤務先の規定によります。

※ 消防士(消防吏員)を含む地方公務員の給与・手当に関する記述は、地方公務員法・総務省の 公表資料および浜松市の条例(例規集で原文確認・確認日2026-08-23)の例示に基づく一般的な整理であり、 支給の名称・要件・金額・具体的な適用関係は自治体・勤務区分により異なります。正確な内容は、 志望・所属する消防本部・自治体の給与条例および人事・給与担当課にご確認ください。