解説記事
夜勤専従の手当相場と手取り
(病院・介護施設で働く場合)
2026.07.14 更新 ・ 読了 約5分
「夜勤専従」は、日勤を持たず夜勤だけを担当する働き方で、病院の看護師や介護施設の介護職に 広く見られる勤務形態です。基本給は日勤者より低めに設定されることが多い一方、 夜勤手当・深夜割増が積み上がるため、額面・年収でみると日勤者を上回るケースも少なくありません。 この記事では、二交代・月8回(1回16時間)というモデルケースで、基本給と手当の内訳、 日勤者との年収差を具体的な数字で試算します。
夜勤専従の夜勤回数・時間数の目安
夜勤専従には、通常の看護配置で用いられる「月平均夜勤時間72時間」という入院基本料の施設基準 (厚生労働省の告示・通知に基づく病棟単位の基準)は適用されません。ただし公益社団法人日本看護協会 「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」では、夜勤専従者の負担が際限なく増えないよう、 夜勤時間数はおおむね月144時間程度を上限の目安とする考え方が示されています。
このガイドラインに沿うと、1回16時間の二交代であれば月9回程度(144時間)が上限の目安に近く、 本記事のモデルである月8回・128時間は、この目安の範囲内に収まる設定です。 なお、実際の夜勤回数の上限や勤務間隔(勤務終了から次の勤務開始まで一定時間以上あける等)の 運用は病院・施設ごとに就業規則で定められており、ガイドラインはあくまで推奨の目安である点に留意してください。
モデルケースの条件
二交代・夜勤専従(病院勤務)を例に、基本給と手当を分けて試算します。
- 夜勤専従の基本給: 200,000円(日勤を担当しない分、日勤者より低めに設定される想定)
- 月平均所定労働時間(基礎時給算定の基準): 160時間 → 基礎時給 1,250円
- 勤務パターン: 16時間拘束(休憩2時間、実働14時間)の二交代を月8回(合計128時間)
- 深夜帯(22時〜翌5時の7時間)は毎回すべて勤務に含まれる想定
- 夜勤専従手当(施設が専従者に上乗せする固定額): 1回12,000円と仮定 (通常の夜勤手当より高めに設定される施設が多いとされる一般的な傾向を踏まえた仮の数値)
比較対象として、日勤のみ・基本給250,000円(深夜割増・夜勤手当なし)の日勤者を置きます。
額面の内訳(概算)
| 項目 | 夜勤専従(月8回) | 日勤者 |
|---|---|---|
| 基本給 | 200,000円 | 250,000円 |
| 深夜割増(1,250円×25%×7時間×8回) | 17,500円 | — |
| 夜勤専従手当(12,000円×8回) | 96,000円 | — |
| 額面合計(月) | 約313,500円 | 250,000円 |
| 手取りの目安(額面の8割前後) | 約25万1千円 | 約20万円 |
深夜割増(労働基準法37条、22時〜翌5時の労働に+25%)は法定の割増賃金であり、 夜勤専従手当は施設が独自に定める手当です。社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険の本人負担で 額面の15%前後)と所得税・住民税が引かれるため、手取りは額面の8割前後が目安になります。
日勤者と比べた年収差
賞与を考慮せず月額のみを12か月分単純合計すると、次のとおりです。
- 夜勤専従: 313,500円 × 12か月 = 約376万2千円
- 日勤者: 250,000円 × 12か月 = 300万円
- 差額: 約76万2千円(夜勤専従の方が多い)
基本給だけを見ると夜勤専従は月5万円(年間60万円)低い設定ですが、深夜割増と夜勤専従手当を 合わせた月113,500円(年間約136万2千円)がそれを上回るため、額面年収では夜勤専従が 上回る計算になります。「基本給は低いが手当で積み上がる」という夜勤専従特有の給与構造が、 この差額の背景にあります。ただし賞与の算定基礎に基本給を用いる施設では、 賞与を含めた年収差はこのモデルより小さくなる可能性がある点に注意してください。
介護施設で働く場合の注意点
介護施設(特養・老健等)の夜勤専従も、基本給+夜勤手当(施設独自の固定額)という 構造は病院とおおむね共通していますが、手当の金額・処遇改善加算の配分方針は施設ごとの差が 病院以上に大きいとされます。介護職の夜勤手当相場や処遇改善加算の扱いについては、 別記事「介護士の夜勤手当相場と手取り計算」で詳しく解説しています。
自分の条件で試算するには
上のモデルケースは基本給20万円・月8回という一例での試算です。実際の基本給や 夜勤専従手当の金額、月の夜勤回数は勤務先によって異なります。夜勤手取り計算ツールなら、 月8回などの夜勤専従パターンをシフトとして登録するだけで、深夜割増・夜勤手当込みの 月間手取りを試算し、12か月分に単純換算した年収イメージまで確認できます。1回あたりの 金額だけをすぐ知りたい場合は夜勤手当 早見計算(「月に◯回入ると」の月換算欄は初期値が 月8回になっています)も便利です。登録不要・データはお使いの端末内にのみ保存されます。
よくある質問
- 夜勤専従の夜勤回数には上限がありますか?
- 通常の看護配置に使われる「月平均夜勤時間72時間」という入院基本料の施設基準は夜勤専従者には適用されません。ただし公益社団法人日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」では、夜勤専従者の負担が際限なく増えないよう、夜勤時間数はおおむね月144時間程度を上限の目安とする考え方が示されています。実際の夜勤回数の上限や勤務間隔の運用は病院・施設ごとに就業規則で定められており、ガイドラインはあくまで推奨の目安である点に留意してください。
- 夜勤専従は本当に日勤者より収入が高いのですか?
- 一概には言えません。本記事のモデルケースでは、基本給を低めに設定する代わりに深夜割増(+25%)と施設独自の夜勤専従手当が積み上がり、額面年収で日勤者を上回る試算になりましたが、基本給・夜勤専従手当の金額は施設ごとに異なります。また賞与の算定基礎に基本給を用いる施設では、賞与を含めた年収差は月額だけのモデルより小さくなる可能性があります。実際の水準は求人票や雇用契約書で確認してください。
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※ 本記事および紹介ツールの計算結果は概算であり、実際の給与は勤務先の規定によります。
※ 夜勤専従の夜勤回数・時間数の目安は日本看護協会のガイドラインを参考にした一般的な整理であり、 基本給・夜勤専従手当の金額は本記事の仮定値です。実際の水準や年間夜勤回数の上限は 勤務先の就業規則・雇用契約により異なるため、概算・一般論としてご利用ください。