解説記事

夜勤と社会保険料
標準報酬月額はどう変わる?手取りへの影響を解説
公開日 ・ 最終更新日 ・ 読了 約5分
執筆: 夜勤ツールズ編集部
しげさん、「手当は保険料と無関係」を調べ直す
夜勤手当で月27万に増えて保険料上がります?
手当は対象外だと思っとったが…自信ないな
夜勤手当も原則対象か等級で保険料が決まるのか
増えた分の一部が保険料に回る手取りまで減るとは限らんよしげさんの「手当は対象外」は、長年の経験則によるよくある誤解。 夜勤手当・深夜手当も毎月支払われる手当は原則すべて標準報酬月額(保険料を決める等級)の計算対象です。 等級がいつ・どう決まるかと、保険料がいくら増えるかの計算例 (月収24万円→夜勤手当込み27万円のモデル)を順番に見ていきます。
30秒でわかる結論
- 夜勤手当は社会保険料の計算対象。総支給額が上がれば等級が上がることはある
- それでも保険料の増加だけで総支給の増加分が消えることはない(月収24万円→27万円のモデルで試算)
- 夜勤回数が一時的に増えただけでは、等級はすぐには変わらない
標準報酬月額ってなに?
標準報酬月額とは、社会保険料(健康保険・厚生年金)を計算するために給与額を一定の幅の「等級」に 区分したもので、基本給のほか、算定の対象期間に労働の対償として支払われた 夜勤手当・深夜手当・通勤手当なども原則として計算対象に含まれます (月ごとに金額が変動する手当も対象です。賞与・臨時の支給・実費弁償的な給付は扱いが異なります)。
法令の根拠をくわしく読む
等級はいつ決まる?(4〜6月がカギ)
等級は原則、毎年4〜6月に支払われた給与の平均額で決まります(定時決定)。 そこで決まった等級が、その年の9月から翌年8月まで1年間適用されます。
- 4〜6月支払われた給与の平均をとる
- 9月新しい等級の適用開始
- 翌年8月同じ等級のまま1年間適用
定時決定・随時改定の根拠をくわしく読む
年度の途中で等級が変わることはある?
あります。ただし条件つきです。基本給などの「固定的賃金」が変わり、 給与の水準が大きく動いたときだけ、年度の途中でも等級が見直されます(随時改定)。
随時改定になるのは、次の3つをすべて満たす場合です。
- 昇給・降給など固定的賃金に変動があった
- 変動月から3か月間、いずれも支払基礎日数が17日以上ある
- その3か月の報酬平均が、現在の等級と比べて2等級以上変わる
随時改定のくわしい根拠と例外を読む
手当込み27万円で保険料はいくら増える?(計算例)
月収24万円の人が夜勤手当込みで27万円になったケースで、本人負担の保険料が どれだけ増えるかを見てみます。料率は協会けんぽ・東京都(令和8年度)、40歳未満(介護保険料の負担なし)のモデルです。 40〜64歳の方はこれに介護保険料が加わるため、実際の負担額は下表より大きくなります。
使用した料率と等級区分をくわしく読む

月収24万円は標準報酬月額240,000円の等級。夜勤手当込み27万円は「270,000円以上」の区分に入るため、260,000円の等級を飛び越えて280,000円の等級になります(協会けんぽ・令和8年度の区分)。
| 項目 | 月収24万円 | 夜勤手当込み27万円 |
|---|---|---|
| 該当する報酬月額の範囲 | 230,000円以上250,000円未満 | 270,000円以上290,000円未満 |
| 標準報酬月額 | 240,000円 | 280,000円 |
| 健康保険料(本人負担、4.925%) | 11,820円 | 13,790円 |
| 子ども・子育て支援金(本人負担、0.115%) | 276円 | 322円 |
| 厚生年金保険料(本人負担、9.15%) | 21,960円 | 25,620円 |
| 本人負担合計 | 34,056円 | 39,732円 |
増える保険料は 月あたり5,676円(39,732円 − 34,056円)。年間では約68,112円の増加です。
増えた総支給額3万円の行き先を整理するとこうなります。
| 増加分3万円の内訳 | 金額(概算) |
|---|---|
| 社会保険料の増加分 | 5,676円 |
| 保険料増加分を差し引いた残り(税・雇用保険料の増加分は別途) | 約24,324円 |
※ このほかに所得税・住民税の増加分が別途差し引かれます。
なお雇用保険料は標準報酬月額ではなく、実際に支払われた賃金総額に保険料率をかけて 毎月計算されます。上の等級表とは別の考え方です。
等級が上がるメリットはある?
あります。標準報酬月額が上がると、将来受け取る老齢厚生年金の計算基礎も上がります。
さらに、傷病手当金・出産手当金など健康保険の給付額も標準報酬月額に連動して増えます。 保険料の負担増だけでなく、将来給付にも反映される点はあわせて知っておくと安心です。
自分の等級・手取りを確認するには
上のモデルケースは東京都・令和8年度の料率を用いた一例で、実際の標準報酬月額は 加入している健康保険(協会けんぽの都道府県別料率、または健保組合独自の料率)や 勤務先からの届出内容によって決まります。
夜勤手取り計算ツールでは、月給と夜勤手当を入力すると社会保険料の概算 (額面の15%前後という簡易な一律料率を用いた目安計算)を差し引いた 月間手取りイメージを確認できます。上で解説したような等級区分・都道府県別の料率までは反映していません。 正確な標準報酬月額・保険料額は、保険者(協会けんぽ支部・健保組合)にご確認ください。
よくある質問
夜勤手当が増えると、社会保険料の等級は必ず上がりますか?
必ず上がるわけではありません。標準報酬月額は原則、毎年4〜6月に支払われた報酬の平均額をもとに年1回改定される「定時決定」で決まるため、年度途中に夜勤回数が一時的に増えただけでは変わりません。ただし夜勤専従への配置転換などで固定的賃金が変動し、変動月から3か月間の報酬平均が現在の等級と比べて2等級以上変わる場合は「随時改定」の対象になります。
等級が上がると手取りは減りますか?
本記事のモデルケース(月収24万円→夜勤手当込み27万円)では、標準報酬月額が240,000円から280,000円の等級に上がり、本人負担の社会保険料(40歳未満・介護保険料なしのモデル。令和8年4月分から始まった子ども・子育て支援金を含む)は34,056円から39,732円へ約5,676円増えます。40〜64歳の方はこれに介護保険料が加わります。ただし総支給額の増加分3万円の方が保険料の増加分より大きいため、保険料の増加だけで総支給の増加分が打ち消されることは基本的にありません(所得税・住民税・雇用保険料の増加分は別途かかります)。夜勤手取り計算ツールでは、社会保険料の本人負担の目安(15%前後)を差し引いた簡易な手取りイメージを確認できます。
関連記事
出典・参考資料
- 日本年金機構「標準報酬月額、賞与等」(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 日本年金機構・確認日: 2026-07-26
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「都道府県毎の保険料額表(令和8年度)」(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 全国健康保険協会・対象年度: 令和8年度・確認日: 2026-07-26
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「協会けんぽの子ども・子育て支援金率について」(外部サイトが新しいタブで開きます)発行主体: 全国健康保険協会・対象年度: 令和8年度・確認日: 2026-08-24
※ 本記事および紹介ツールの計算結果は概算であり、実際の給与は勤務先の規定によります。
※ 社会保険料に関する記述は協会けんぽ(東京都・令和8年度)の公表資料に基づく概算・一般論であり、 加入する健康保険の種類・都道府県・年齢(介護保険第2号被保険者に該当するか等)・ 定時決定や随時改定の適用時期といった個別事情により、実際の等級・保険料額は異なります。 正確な標準報酬月額・保険料額は、加入している協会けんぽ支部・健康保険組合または 年金事務所にご確認ください。