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夜勤ツールズ

解説記事

夜勤手当で社会保険料はいくら増える?
標準報酬月額の等級変化を計算例で解説

公開日 ・ 最終更新日 ・ 読了 約8分

執筆: 夜勤ツールズ編集部

しげさん、「手当は保険料と無関係」を調べ直す

※ 登場人物・会話は、制度上の論点を説明するために作成した架空の例です(実在の相談や体験談ではありません)。

しげさんの「手当は対象外」は、長年の経験則によるよくある誤解。 夜勤手当・深夜手当も毎月支払われる手当は原則すべて標準報酬月額(保険料を決める等級)の計算対象で、 夜勤手当が増えれば社会保険料が上がることがあります。 等級がいつ・どう決まるかと、保険料がいくら増えるかの計算例 (月収24万円→夜勤手当込み27万円のモデルで月5,676円増)を順番に見ていきます。

30秒でわかる結論

  • 夜勤手当は社会保険料の計算対象。総支給額が上がれば等級が上がることはある
  • それでも保険料の増加だけで総支給の増加分が消えることはない(月収24万円→27万円のモデルで試算)
  • 夜勤回数が一時的に増えただけでは、等級はすぐには変わらない

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標準報酬月額ってなに?

標準報酬月額とは、社会保険料(健康保険・厚生年金)を計算するために給与額を一定の幅の「等級」に 区分したもので、基本給のほか、算定の対象期間に労働の対償として支払われた 夜勤手当・深夜手当・通勤手当なども原則として計算対象に含まれます (月ごとに金額が変動する手当も対象です。賞与・臨時の支給・実費弁償的な給付は扱いが異なります)。

法令の根拠をくわしく読む
標準報酬月額は健康保険法40条・厚生年金保険法20条に定められた区分で、 保険料や将来の年金額を計算する基礎になります。労働の対価として毎月支払われる手当は 原則すべて「報酬」に含まれ、夜勤手当・深夜手当のほか残業手当や休日出勤手当も同様に 標準報酬月額の算定対象になります。

保険料額表で自分の等級を探す手順

協会けんぽが毎年度公表する都道府県ごとの「保険料額表」は、次の順で見ると自分の等級と本人負担額が読み取れます。

  1. 勤務先の所在地の都道府県の表を開く

    健康保険組合の人は組合の料率表を使います。資格確認書の「保険者名称」でどちらかが分かります。
  2. 「報酬月額」の列で自分の金額が入る行を探す

    使う金額は4〜6月の総支給額(残業・夜勤手当・通勤手当込み、賞与除く)の平均。270,000円なら「270,000円以上290,000円未満」の行です。
  3. その行の「標準報酬月額」と「等級」を読む

    例の行は280,000円、健康保険21級(厚生年金18級)。厚生年金は88,000円が1級のため番号が3つずれます。
  4. 「折半額」の列で本人負担を読む

    健康保険は40歳未満なら「介護保険第2号被保険者に該当しない場合」の列。厚生年金は18.3%の半分で、280,000円の行なら25,620円です。
  5. 給与明細の「健康保険料」「厚生年金保険料」と突き合わせる

    一致しないときは随時改定や育休明けの改定、健保組合の料率の可能性があります。給与担当に「標準報酬月額決定通知書」を確認するか「ねんきんネット」で履歴を見ます。

等級はいつ決まる?(4〜6月がカギ)

等級は原則、毎年4〜6月に支払われた給与の平均額で決まります(定時決定)。 そこで決まった等級が、その年の9月から翌年8月まで1年間適用されます。

定時決定の流れ(等級が決まるタイミング)
  1. 4〜6月支払われた給与の平均をとる
  2. 9月新しい等級の適用開始
  3. 翌年8月同じ等級のまま1年間適用
4〜6月にたまたま夜勤が多いと、その3か月の平均で1年分の等級が決まってしまいます。 逆にこの期間の夜勤が少なければ、その年度は低めの等級のまま過ごせます。
定時決定・随時改定の根拠をくわしく読む
定時決定は健康保険法41条・厚生年金保険法21条に基づく手続きで、勤務先が毎年提出する 「算定基礎届」により、4〜6月に支払われた報酬の平均額をもとに標準報酬月額が決定されます。 決定された等級はその年の9月から翌年8月まで適用されます。

標準報酬月額と保険料はどんな式で決まる?

定時決定から本人負担額までの3本の式

式1 報酬月額 = 対象月の報酬合計 ÷ 対象月数 ※対象月は4〜6月のうち支払基礎日数17日以上の月(特定適用事業所などの短時間労働者として加入している人は11日以上)。3か月とも対象なら÷3、除外月があればその月を除いた月数で割る

式2 標準報酬月額 = 等級表で報酬月額が入る帯の代表額(例: 270,000円以上290,000円未満 → 280,000円)

式3 本人負担額 = 標準報酬月額 × 料率 ÷ 2(健康保険9.85%・支援金0.23%・厚生年金18.3%。東京都・令和8年度)

例: 4月262,000円・5月275,000円・6月273,000円なら、式1は(262,000+275,000+273,000)÷3=270,000円。 式2で280,000円の等級に入り、式3は280,000×9.85%÷2=13,790円、280,000×0.23%÷2=322円、 280,000×18.3%÷2=25,620円で合計39,732円です。 4月だけ夜勤が少なく250,000円なら平均は266,000円で260,000円の等級(本人負担36,894円)に収まり、 夜勤1か月分の違いが1年間の保険料に月2,838円の差として残ります。 式1に含めるのは基本給・夜勤手当・深夜割増・残業手当・通勤手当などで、年3回以下の賞与や実費弁償は含めません。 40〜64歳は式3に介護保険料率(令和8年度1.62%)を加えます。

年度の途中で等級が変わることはある?

あります。ただし条件つきです。基本給などの「固定的賃金」が変わり、 給与の水準が大きく動いたときだけ、年度の途中でも等級が見直されます(随時改定)。

随時改定になるのは、次の3つをすべて満たす場合です。

  1. 昇給・降給など固定的賃金に変動があった
  2. 変動月から3か月間、いずれも支払基礎日数が17日以上ある(短時間労働者として加入している人は11日以上)
  3. その3か月の報酬平均が、現在の等級と比べて2等級以上変わる。ただし固定的賃金の増減の方向と等級の上下の方向が一致する場合に限られ、固定的賃金は上がったのに残業・夜勤手当の減少で平均が下がったような場合は対象外(現在の等級が標準報酬月額の上限・下限に近い場合は、1等級の差でも対象になる例外があります)
夜勤手当は多くの場合、夜勤の回数で毎月変わる「非固定的賃金」です。 だから夜勤が多い月が続いて総支給額が増えただけでは、要件1を満たさず等級はすぐには変わりません。
区分例随時改定の引き金になるか
固定的賃金基本給、役職手当、毎月定額の夜勤専従手当、時給・日給の単価なる(3か月平均で2等級以上動けば4か月目から改定)
非固定的賃金回数に応じた夜勤手当、深夜割増、残業手当ならない(固定的賃金の変動があった場合の3か月平均には含める)

「夜勤が増えた翌月から保険料も上がる」は、回数連動の手当だけでは要件1を満たさず次の定時決定(9月)まで等級は動きません。 「4〜6月に夜勤を減らせば得をする」は、保険料は下がる一方で傷病手当金・出産手当金・老齢厚生年金も 同じ標準報酬月額で計算されるため給付も下がります(根拠: 健康保険法41条・43条、厚生年金保険法21条・23条。確認日2026-09-06)。

随時改定のくわしい根拠と例外を読む
随時改定は健康保険法43条・厚生年金保険法23条に基づく手続き(月額変更届)です。 夜勤回数の増減による夜勤手当の変動は通常は非固定的賃金の変動にあたりますが、 夜勤専従への配置転換で毎月固定額の夜勤手当が新設・増額された場合などは固定的賃金の変動にあたり、 2等級以上の差が生じれば随時改定の対象になり得ます。等級表の上限・下限にかかる場合は1等級差でも対象になる例外があり(日本年金機構の案内)、対象かどうかは勤務先か年金事務所で確認します。この判断は勤務先の給与規定や 実際の支払い方によって異なるため、正確なところは加入している健保組合・年金事務所への 確認が必要です。

手当込み27万円で保険料はいくら増える?(計算例)

月収24万円の人が夜勤手当込みで27万円になったケースで、本人負担の保険料が どれだけ増えるかを見てみます。料率は協会けんぽ・東京都(令和8年度)、40歳未満(介護保険料の負担なし)のモデルです。 40〜64歳の方はこれに介護保険料が加わるため、実際の負担額は下表より大きくなります。

使用した料率と等級区分をくわしく読む
協会けんぽ・東京都(令和8年度、令和8年3月分から適用)の保険料率は、健康保険料率9.85% (本人負担分はその半分の4.925%)、厚生年金保険料率18.3%(本人負担分9.15%、 平成29年9月分から全国一律)です。さらに令和8年4月分からは、全国一律の 子ども・子育て支援金率0.23%(労使折半のため本人負担分は0.115%)が健康保険の保険料と あわせて徴収されます。本記事の計算例はこの支援金を含めた額です。健康保険料率は都道府県によって異なるため、 ここでは代表例として東京都の料率を用いています。標準報酬月額表では、報酬月額が 「230,000円以上250,000円未満」なら標準報酬月額240,000円、「270,000円以上290,000円未満」なら 280,000円の等級に区分されます。27万円は270,000円ちょうどが「270,000円以上」の区分に入るため、 260,000円の等級を飛び越えて280,000円の等級に上がります。
詰所の机で給与明細とスマホを見比べ、標準報酬月額の等級を確かめるしげさん
明細と等級を照らし合わせるしげさん
標準報酬月額は階段状に決まる(モデルケース周辺の等級のみ抜粋)
270,000円以上290,000円未満
280,000円
(間の等級)
260,000円
230,000円以上250,000円未満
240,000円

月収24万円は標準報酬月額240,000円の等級。夜勤手当込み27万円は「270,000円以上」の区分に入るため、260,000円の等級を飛び越えて280,000円の等級になります(協会けんぽ・令和8年度の区分)。

項目月収24万円夜勤手当込み27万円
該当する報酬月額の範囲230,000円以上250,000円未満270,000円以上290,000円未満
標準報酬月額240,000円280,000円
健康保険料(本人負担、4.925%)11,820円13,790円
子ども・子育て支援金(本人負担、0.115%)276円322円
厚生年金保険料(本人負担、9.15%)21,960円25,620円
本人負担合計34,056円39,732円

増える保険料は 月あたり5,676円(39,732円 − 34,056円)。年間では約68,112円の増加です。

増えた総支給額3万円の行き先を整理するとこうなります。

増加分3万円の内訳金額(概算)
社会保険料の増加分5,676円
保険料増加分を差し引いた残り(税・雇用保険料の増加分は別途)約24,324円

※ このほかに所得税・住民税の増加分が別途差し引かれます。

「等級が上がる=手取りが減る」わけではありません。実態に近いのは 「増加分の一部が保険料に回る」という理解です。

なお雇用保険料は標準報酬月額ではなく、実際に支払われた賃金総額に保険料率をかけて 毎月計算されます。上の等級表とは別の考え方です。

報酬月額24万・27万・30万円の等級別保険料(比較表)

モデルの前後を含めて3水準を並べます。料率は協会けんぽ・東京都・令和8年度、本人負担分です。

報酬月額標準報酬月額(健保等級)健康保険+支援金厚生年金合計(40歳未満)
240,000円240,000円(19級)12,096円21,960円34,056円
270,000円280,000円(21級)14,112円25,620円39,732円
300,000円300,000円(22級)15,120円27,450円42,570円

各行とも「標準報酬月額×(4.925%+0.115%)」と「標準報酬月額×9.15%」の合計です。 24万円→27万円は2等級で月5,676円増、27万円→30万円は1等級で月2,838円増と、増え方は一定ではありません。 都道府県差も出ます。280,000円の健康保険料(本人負担・支援金除く)は東京都13,790円(9.85%)に対し、 新潟県12,894円(9.21%)、佐賀県14,770円(10.55%)で、最高と最低の差は月1,876円です(令和8年度)。

等級が上がるメリットはある?(賞与・年金額への影響)

あります。老齢厚生年金(報酬比例部分)は厚生年金保険法43条の式「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」で決まり、 標準報酬月額が240,000円から280,000円に上がった状態が12か月続くと年額およそ40,000×5.481/1000×12=2,631円増えます (再評価率を掛ける前の単純計算)。傷病手当金の日額(直近12か月の標準報酬月額の平均÷30×2/3)は5,333円から6,222円に上がります。

賞与にも同じ料率がかかります。1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に料率を掛け、健康保険は年度累計573万円、 厚生年金は1か月150万円が上限です。賞与500,000円なら本人負担は24,625円+575円+45,750円=70,950円(東京都・令和8年度・40歳未満)です。標準報酬月額・標準賞与額の履歴は「ねんきんネット」で確認できます。

自分の等級・手取りを確認するには

上のモデルケースは東京都・令和8年度の料率を用いた一例で、実際の標準報酬月額は 加入している健康保険(協会けんぽの都道府県別料率、または健保組合独自の料率)や 勤務先からの届出内容によって決まります。

夜勤手取り計算ツールでは、月給と夜勤手当を入力すると社会保険料の概算 (額面の15%前後という簡易な一律料率を用いた目安計算)を差し引いた 月間手取りイメージを確認できます。上で解説したような等級区分・都道府県別の料率までは反映していません。 正確な標準報酬月額・保険料額は、保険者(協会けんぽ支部・健保組合)にご確認ください。

  • 4〜6月の明細がある人: 総支給額を式1で平均し保険料額表で等級を確認。9月以降の保険料と一致しなければ給与担当へ。
  • 固定手当の新設や配置転換があった人: 変動月から3か月の平均で2等級以上動くなら、4か月目からの随時改定を前提に手取りを見積もります。

あなたの手取りはいくら?

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よくある質問

夜勤手当が増えると、社会保険料の等級は必ず上がりますか?

必ず上がるわけではありません。標準報酬月額は原則、毎年4〜6月に支払われた報酬の平均額をもとに年1回改定される「定時決定」で決まるため、年度途中に夜勤回数が一時的に増えただけでは変わりません。ただし夜勤専従への配置転換などで固定的賃金が変動し、変動月から3か月間の報酬平均が現在の等級と比べて2等級以上変わる場合は「随時改定」の対象になります。

等級が上がると手取りは減りますか?

本記事のモデルケース(月収24万円→夜勤手当込み27万円)では、標準報酬月額が240,000円から280,000円の等級に上がり、本人負担の社会保険料(40歳未満・介護保険料なしのモデル。令和8年4月分から始まった子ども・子育て支援金を含む)は34,056円から39,732円へ約5,676円増えます。40〜64歳の方はこれに介護保険料が加わります。ただし総支給額の増加分3万円の方が保険料の増加分より大きいため、保険料の増加だけで総支給の増加分が打ち消されることは基本的にありません(所得税・住民税・雇用保険料の増加分は別途かかります)。夜勤手取り計算ツールでは、社会保険料の本人負担の目安(15%前後)と所得税相当(5%)を差し引いた簡易な手取りイメージ(住民税は含みません)を確認できます。

40歳以上だと保険料はいくら変わりますか?

40〜64歳は介護保険第2号被保険者として介護保険料が加わります。協会けんぽの介護保険料率は令和8年度1.62%(全国一律)で、本人負担はその半分の0.81%です。標準報酬月額280,000円なら月2,268円、240,000円なら月1,944円の追加になります。65歳以降は給与からの徴収ではなく、市区町村が年金からの天引き等で徴収する方式に変わります。

パート・アルバイトの夜勤手当も社会保険料の対象になりますか?

勤務先の健康保険・厚生年金に加入している場合は、正社員と同じく夜勤手当を含めた報酬をもとに標準報酬月額が決まります。加入要件(週の労働時間・労働日数が通常の労働者の4分の3以上、または被保険者51人以上の事業所で週20時間以上・月額賃金8.8万円以上などの短時間労働者の要件)を満たさず社会保険に加入していない場合は、そもそも標準報酬月額の対象外です。自分がどちらに該当するかは、給与明細に健康保険・厚生年金の控除欄があるかで確認できます。

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出典・参考資料

※ 本記事および紹介ツールの計算結果は概算であり、実際の給与は勤務先の規定によります。

※ 社会保険料に関する記述は協会けんぽ(東京都・令和8年度)の公表資料に基づく概算・一般論であり、 加入する健康保険の種類・都道府県・年齢(介護保険第2号被保険者に該当するか等)・ 定時決定や随時改定の適用時期といった個別事情により、実際の等級・保険料額は異なります。 正確な標準報酬月額・保険料額は、加入している協会けんぽ支部・健康保険組合または 年金事務所にご確認ください。