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解説記事

宿直と夜勤の違い
宿直手当に深夜割増が含まれるのはどんなときか

公開日 ・ 最終更新日 ・ 読了 約13分

執筆: 夜勤ツールズ編集部

宿直と夜勤を分けるのは呼び方ではなく、労働基準監督署長の許可を受けているかと、夜の間にどれだけ働くかです。 許可を受けた宿直でも深夜業の規定(労働基準法37条4項)は除外されず、待機時間の深夜割増は、1回ごとの宿直手当に含めて支払う扱いとされています。 この記事では、その線引きと、許可の確かめ方、1晩あたりの金額の差を計算例で整理します。

この記事のポイント

  • 宿直と夜勤の違いは?夜勤は通常の労働で、22時〜翌5時の実働に25%以上の深夜割増が付きます。宿直は、ほとんど労働しない夜間の勤務で、労働基準監督署長の許可を受けたものです。 ※本文で読む
  • 深夜割増が宿直手当に含まれるのはどんなとき?許可を受けた宿直で、巡視・電話番・睡眠など、ほとんど労働しない時間です。許可がない場合や、宿直中に通常の業務をした時間は、宿直手当とは別に割増が必要です。 ※本文で読む
  • 1晩でどれくらい違う?基礎時給1,500円のモデルで、夜勤(実働8時間)は14,250円、許可を受けた宿直は宿直手当4,000円(1日平均12,000円の3分の1の例)です。 ※本文で読む
  • 自分の職場はどちら?勤務先に「断続的な宿直又は日直勤務許可書」の有無を聞き、就業規則と勤務の実態を見比べます。 ※本文で読む

→ 夜勤1回分の深夜割増を時刻から計算する(無料・登録不要)

宿直と夜勤は何が違う?(許可と仕事の中身)

労働基準法41条3号は、「監視又は断続的労働に従事する者」で使用者が行政官庁の許可を受けたものについて、労働時間・休憩・休日の規定を適用しないとしています。 宿直については、労働基準法施行規則23条が、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について所轄の労働基準監督署長の許可を受けた場合の扱いを定めています。

  • 夜勤: 通常の業務を夜間に行う勤務です。働いた時間は労働時間で、22時〜翌5時の実働には基礎時給の25%以上の深夜割増が付きます(労働基準法37条4項)。
  • 許可を受けた宿直: 定時の巡視、緊急の文書・電話の収受、非常事態への備えなど、常態としてほとんど労働する必要のない勤務です。 許可の基準では、相当の睡眠設備があり夜間に十分眠れること、回数は原則として宿直が週1回までであることなどが求められています。

つまり、同じ「夜に職場にいる」勤務でも、許可を受けていない、または中身が通常の業務であれば夜勤と同じ扱いです。 「宿直」という名称や、手当の名前だけでは決まりません。

どの時間に深夜割増が付く?(4つの場面の比較)

基礎時給1,500円のモデルで、夜の勤務を4つの場面に分けて比べます。夜勤は22:00〜翌7:00(休憩1時間は2:00〜3:00)で、深夜帯にかかる実働は6時間です。

夜勤 22:00〜翌7:00(休憩2:00〜3:00)。深夜帯の実働は6時間
22:00 出勤7:00 退勤
勤務時間深夜割増の対象(22:00〜5:00)休憩
場面法律上の扱い1晩・1時間あたりの目安(モデル)
夜勤(通常の業務を夜通し行う)労働時間。深夜帯の実働に+25%以上基礎分12,000円+深夜割増2,250円=14,250円
許可を受けた宿直の待機・巡視・睡眠労働時間・休憩・休日の規定の適用外(深夜業の規定は除外されない)。深夜割増を含む1回ごとの宿直手当で支払う宿直手当4,000円以上(1日平均12,000円の3分の1の例)
許可を受けた宿直中に、通常の業務を1時間(2:00〜3:00)許可の効果が及ばず、労働時間として扱う。日勤8時間の後なら時間外+深夜1,500円×(1+25%+25%)=2,250円(日勤のない日なら深夜のみで1,875円)。宿直手当とは別
許可を受けていない「宿直」通常の労働時間。夜勤と同じ計算になる夜勤の行と同じ式。日勤の後に続けば時間外割増も重なる

表の注(よく聞く言い回しとの違い)

  • 2行目: 「許可を受けた宿直なら深夜割増は関係ない」ではありません。許可で除外されるのは労働時間・休憩・休日の規定で、深夜業の規定は除外されず、待機の深夜割増は宿直手当(深夜割増賃金を含む額)に含めて支払う扱いです(岩手労働局の許可申請の資料、労働基準法41条)。
  • 2行目: 「宿直は何回やってもよい」でもありません。許可の基準では宿直は原則として週1回が限度で、回数の条件は許可書の付款に書かれます(東京労働局「医療機関における宿日直の許可基準について」)。
  • 3行目: 「宿直手当が出ているから、夜中に起こされても追加はない」とは限りません。通常の勤務と同じ内容の業務をした時間は労働時間として扱い、割増賃金の対象になるとされています(茨城労働局「宿日直許可制度」)。
  • 4行目: 「宿直という名前だから深夜割増は出ない」とはなりません。許可を受けていなければ通常の労働時間で、名称では決まりません(労働基準法37条4項・41条3号、同法施行規則23条)。

深夜割増を時間ごとに別計算せず宿直手当に含める扱いになるのは、表の2行目、つまり許可を受けた宿直のうち、ほとんど労働しない時間だけです。 許可の基準では、宿直1回の宿直手当(深夜割増賃金を含む)の最低額が決められており、待機の時間を時給で数える代わりに、深夜の分も含めた1回ごとの手当で支払う仕組みです。

3行目のように、宿直中に急患の受け入れや入居者の介助など通常の勤務と同じ内容の業務をした時間は、許可を受けた宿直の中でも労働時間として扱う必要があるとされています。 その時間が深夜帯なら深夜割増、その日の労働が法定の8時間を超えていれば時間外割増も重なります。深夜と時間外が重なる倍率の考え方は 「深夜残業は何倍?」の記事で詳しく扱っています。

宿直中の通常の業務が頻繁にあり、夜間に十分眠れない状態が続くなら、その勤務はそもそも「ほとんど労働しない勤務」に当たらない可能性があります。 許可の条件に合っているかは、勤務先を管轄する労働基準監督署に相談して確かめてください。

1晩あたりいくら違う?(計算過程)

表の数字は次の式で出しています。基礎時給は月給制なら「月給 ÷ 月平均所定労働時間」で、ここでは1,500円とします(月給255,000円・月平均所定170時間に当たります)。

夜勤と宿直の1晩分(基礎時給1,500円のモデル)

式1 夜勤の基礎分 = 基礎時給 × 実働時間 → 1,500 × 8時間 = 12,000円

式2 夜勤の深夜割増 = 基礎時給 × 0.25 × 深夜帯の実働 → 1,500 × 0.25 × 6時間 = 2,250円

式3 宿直手当の最低額の目安 = 同種の労働者の1人1日平均額 ÷ 3 → 12,000 ÷ 3 = 4,000円

式4 宿直中の通常業務1時間(日勤8時間の後・深夜帯) = 基礎時給 × (1 + 0.25 + 0.25) → 2,250円

夜1回分の賃金は、夜勤なら14,250円、許可を受けた宿直なら手当4,000円で、1回あたり10,250円、月4回なら41,000円違います。 ただし夜勤の通常の賃金が月給に含まれている職場では、この差がそのまま月給に上乗せされるわけではなく、税・社会保険料を引いた手取りの差とも別です。

式1・式2の休憩1時間は労働時間に含めていません。式3の「1日平均額」は、宿直に就く予定の同種の労働者に払われている賃金から出すもので、 通勤手当など割増賃金の基礎に入らない賃金は含めないとされています。12,000円はあくまでモデル値で、実際の額は職場の賃金で変わります。

宿直手当の基準と深夜割増の関係をくわしく読む
宿日直の許可で適用が除外されるのは、労働時間・休憩・休日の規定です。深夜業の規定(37条4項)は除外されないため、岩手労働局の資料は、深夜の時間(22時〜翌5時)には25%以上の割増賃金の支払いが必要だと説明しています。 そのうえで許可基準は、宿直1回の宿直手当を「深夜割増賃金を含む」額とし、その最低額を1人1日平均額の3分の1以上と定めています。待機時間の深夜割増は、この宿直手当に含めて支払う扱いです。 宿直中に通常の業務をした時間の時間外・深夜の割増は、宿直手当とは別に必要です。自分の宿直手当の額が基準を満たしているかは、賃金規程の条文を確認し、分からなければ労働基準監督署で確かめてください。

許可書・規程・夜間の記録で見分ける5つの資料

許可の有無や条件、宿直手当の額、宿直の前後の勤務は事業場ごとに違います。次の順に資料を集めると、自分の夜の勤務が宿直と夜勤のどちらに近いかを確かめられます。

  1. 雇用契約書・労働条件通知書で勤務の名称を見る

    「宿直」「当直」「夜勤」「夜間勤務」のどれで書かれているか、宿直手当の額が書かれているかを確認します。名称は出発点にすぎません。
  2. 許可書の有無を総務・人事に聞く

    「断続的な宿直又は日直勤務許可書」があるか、許可された回数・時間帯などの条件(付款)は何かを聞きます。同じ業種でも許可を受けている事業場と受けていない事業場があり、許可書がなければ、宿直と呼んでいても通常の労働として扱われます。
  3. 就業規則・賃金規程の宿直の条文を写す

    宿直の時間帯、宿直中の業務の範囲、宿直手当の額(全国一律の額はなく職場の賃金水準で変わります)、宿直中に通常の業務をしたときの賃金の扱いが書かれているかを確認します。法定休日に通常の業務をした時間は休日労働(+35%以上)の対象になり得るため、どの日が法定休日かも就業規則の休日の条で見ます。
  4. 1か月分、夜間にした業務を時刻つきで記録する

    例: 「1:40〜2:25 入居者の転倒対応」「4:10〜4:30 救急搬送の付き添い準備」。仮眠できた時間も書きます。頻度と長さが、許可の条件に合う勤務かを判断する材料になります。
  5. 給与明細と突き合わせる

    宿直手当の行のほかに、記録した通常業務の時間について時間外・深夜の割増が付いているかを見ます。日勤の後に続けて宿直に入った日か、休日に宿直だけをした日かで時間外に当たるかが変わるため(上の表の3行目)、勤務表で前後の勤務も確かめます。1時間分の目安は上の式4です。

宿直中の対応が払われていないときの次の一手

  • 許可はあるが、宿直中の業務の時間に割増が付いていない: 夜間の業務の記録(ステップ4)と明細を持って、給与担当に「◯月◯日の1:40〜2:25の対応は、どの行で支払われていますか」と日時を添えて聞きます。
  • 許可書がない、または夜通し通常の業務をしている: 就業規則の宿直の条文・勤務表・業務の記録・明細をそろえ、勤務先を管轄する労働基準監督署に相談します(厚生労働省「全国労働基準監督署の所在案内」で探せます)。 未払いの請求の期限と相談先の比べ方は「夜勤手当が支払われないのは違法?」の記事にまとめています。

夜勤1回分の深夜割増はツールで出す

自分の勤務が夜勤に当たる場合や、宿直中に通常の業務をした時間の深夜割増を確かめたい場合は、夜勤手当 早見計算に時給と勤務の時刻を入れると、1回分の深夜割増の目安が出ます。 月の手取りまで見たいときは、夜勤手取り計算でシフトを登録してください。許可を受けた宿直の手当そのものは、職場ごとに決まるためツールでは計算しません。

あなたの手取りはいくら?

シフトをタップで置くだけ。登録不要で今月の手取りを予測できます。

手取り計算ツールを使ってみる →1回分だけ知りたい方は 夜勤手当 早見計算 →

よくある質問

介護施設の「夜勤」と「宿直」は何が違いますか?

呼び方ではなく、労働基準監督署長の許可を受けているかと、夜間の仕事の中身で分かれます。おむつ交換・体位変換・見回りの記録など通常の介護を夜通し行う勤務は、名称が宿直でも通常の労働として扱われ、22時〜翌5時の実働には深夜割増(25%以上)が必要です。許可を受けた宿直は、ほとんど労働しない勤務(定時の巡視・緊急時の連絡・電話番など)で、夜間に十分眠れることが前提とされています。

宿直の許可を受けているかは、どうやって確かめればよいですか?

許可を受けると、労働基準監督署長から「断続的な宿直又は日直勤務許可書」が交付され、回数などの条件(付款)が書かれています。勤務先の総務・人事に、許可書の有無と、宿直の回数・宿直手当の額がその条件どおりかを聞くのが近道です。就業規則・賃金規程の宿直の条文もあわせて確認します。回答が得られない場合は、勤務先を管轄する労働基準監督署に相談できます。

宿直中に急患や入居者の対応で起こされた時間は、給料が出ますか?

許可を受けた宿直でも、通常の勤務と同じ内容の業務をした時間は労働時間として扱う必要があるとされています。その時間が22時〜翌5時なら深夜割増(25%以上)、その日の労働が法定の8時間を超えていれば時間外割増も重なります。宿直手当とは別に支払われるものなので、対応した時刻と内容を記録しておき、明細と照らし合わせてください。

宿直手当はいくら以上と決まっていますか?

許可の基準では、宿直1回の宿直手当(深夜割増賃金を含む)の最低額は、宿直に就く予定の同種の労働者に支払われている賃金の1人1日平均額の3分の1以上とされています。全国一律の金額はなく、職場の賃金水準によって変わります。1日平均額の出し方は職場の賃金の構成で変わるため、具体的な額は勤務先と労働基準監督署で確認してください。

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出典・参考資料

※ 本記事および紹介ツールの計算結果は概算であり、実際の給与は勤務先の規定によります。

※ 本記事は制度の一般的な説明で、宿直の許可の条件に当たるか、支払いに不足があるかは、許可書の内容・勤務の実態などの個別事情により異なります。 判断に迷うときは、勤務先を管轄する労働基準監督署や、弁護士・社会保険労務士にご相談ください。